【津高本院】不妊治療のページです
HBV陽性でも大丈夫?ARTを考えるカップルへのガイド
妊活を進める中で、「夫(または妻)がB型肝炎だけど、体外受精に影響は?」という不安を抱くカップルは少なくありません。最近、約2万5千組を対象にした非常に大規模な研究が発表され、この疑問に明確な答えを示してくれました。その内容をやさしく、前向きにかみ砕いてお伝えします。
🌟研究のポイント
上海の医療機関で2011〜2023年に治療を受けた 24,836組 のカップルを対象に、
- 女性のみHBV陽性
- 男性のみHBV陽性
- 男女とも陰性(対照群)
の3群を比較した大規模研究。
対象は 初回の凍結胚移植(FET)。
🥚卵子や胚の“質”は変わる?
結論から言うと卵子・受精・胚の発育に、HBV陽性かどうかの差はほぼありませんでした。
- 採卵数
- 受精率
- 良好胚の割合
- 胚盤胞獲得数
いずれも「統計的な差なし」。
男女どちらがHBV陽性でも同じ結果でした。
🤰妊娠率や出産への影響は?
女性がHBV陽性のケースでは、妊娠率・出生率が少し低い傾向 はありましたが、統計的には“有意差なし”なので、明確な悪影響とは言えないレベル。男性がHBV陽性の場合は、妊娠・出生ともにほぼ同等でした。
👶 赤ちゃんへの影響は?
以下の項目についても、HBV陽性かどうかで差はありません。
- 早産
- 低出生体重・高出生体重
- 小さめ/大きめの出生体重
- 新生児の有害事象
赤ちゃんへの明確な影響は認められませんでした。
💡HBV陽性でもARTをためらう必要なし
この研究が示したメッセージは、とてもシンプルです。「HBV陽性だからといって、ARTの卵子・胚・妊娠・出産に悪影響があるとは言えない」「治療を諦める理由にはならない」
肝機能の安定や感染管理は必要ですが、HBV陽性であること自体がARTの妊娠成功を妨げるわけではありません。妊活に取り組むカップルにとって、大きな安心材料となるデータです。
📚 出典
Lin J. et al. Association of hepatitis B virus infection with oocyte quality, embryo development, and ART outcomes in couples with a freeze-all strategy at a single center. Human Reproduction, 2025.