【津高本院】不妊治療のページです
治療後も“希望”はある! がん経験者のための不妊治療とは?
🌱がんを乗り越えたあとにも「家族をつくる希望」を
医療の進歩により、がんは「治る病気」になりつつあります。その一方で、**治療の影響で妊娠しづらくなる(妊孕性低下)**ことが問題となっています。抗がん剤、放射線、手術は命を救うために欠かせませんが、同時に卵巣や精巣など、生殖機能を傷つけてしまうことがあります。
この論文では、がん治療後に妊娠を望む方に対して、どのような評価・治療が有効かをまとめています 。

🔍がんサバイバーの妊娠を考えるときのステップ
① まずは「生殖機能の評価」から
- 女性では卵巣予備能検査(AMH、FSH、超音波)
- 男性では精液検査やホルモン検査
これらを通して、「どのくらい妊娠の可能性が残っているか」を知ることが出発点です。
② 安全に妊娠できる時期の確認
がんの種類や治療内容によって、「妊娠を再開してもよい時期」が異なります。
- 乳がん:ホルモン治療中は妊娠を避け、治療終了後2年以降が目安
- 白血病やリンパ腫:治療後1〜2年での再妊娠が検討可
- 放射線を骨盤に受けた場合:子宮の状態(血流・弾力性)を要評価
これらは、がん専門医+生殖医療専門医の連携で判断することが大切です。
🧬治療方法は「ひとりひとりの状況」に合わせて
がんサバイバーにおける不妊治療は、通常の体外受精(IVF)と大きくは変わりませんが、次の点で特別な配慮が必要です。
- 刺激方法の工夫:ホルモン依存性がん(乳がんなど)では、
エストロゲン上昇を抑える薬剤を併用して卵巣刺激を行う。 - 凍結卵子・胚の利用:治療前に保存していた卵子・胚を使用するケースも。
- 子宮の状態の確認:放射線治療後は、子宮内膜の萎縮や血流低下をチェック。
また、男性では精巣内精子回収(TESE)や凍結保存していた精子の使用が検討されます。
💬研究のメッセージ
筆者らはこう述べています:
「がんサバイバーの妊娠は、今や例外ではない。適切な評価とタイミングを経れば、多くの人が安全に妊娠・出産できる」。つまり、「治療後だから難しい」ではなく、**“治療後だからこそ、計画的に進める”**ことが重要なのです。
🌈まとめ
がんを経験した方が妊娠を望むとき、必要なのは「希望」と「チーム医療」です。
- がん専門医が命を守り、
- 生殖医療専門医が“未来の命”を支える。
その両輪がかみ合うことで、がんサバイバーにも新しい家族を迎える未来が広がっています。あなたの身体と心に寄り添いながら、“命をつなぐ医療”は確実に前進しています。
📚出典
Shafer LA, Schlegel PN.
Infertility evaluation and treatment in cancer survivors.
Fertil Steril. 2025;124(10):812–819.