【津高本院】不妊治療のページです
がんを乗り越えて、自然妊娠できる?――最新研究から見える希望
🌷はじめに
がんを経験したあとでも、「いつか自分の子どもを授かりたい」と願う方は少なくありません。しかし、多くの方が「治療後に妊娠できるの?」「体への影響は?」と不安を抱えています。
今回ご紹介するのは、2025年に発表されたがんサバイバーの自然妊娠に関する世界的な研究レビュー。この研究は、がん治療後の妊娠の可能性を科学的にまとめた初めての包括的報告です。
📚研究の概要
このレビューは、世界中のデータベースから42件の研究・合計38,000人以上の女性がんサバイバーを対象に分析。
テーマは「がん治療後に、体外受精などの生殖補助技術(ART)を使わずに自然妊娠できたか?」です。対象となったがんの種類は多岐にわたり、下記の病気など幅広い患者が含まれました。
- 乳がん
- 白血病
- ホジキンリンパ腫
- 卵巣・子宮頸がん
🌱結果:自然妊娠の“可能性”は決してゼロではない
結果として、がん治療後に自然妊娠した割合は――
- 全体で22.5%(約5人に1人)
- がんを経験していない同年齢女性の自然妊娠率(約30〜35%)よりは低いが、
**「妊娠は十分に可能」**であることが示されました。
がんの種類によって差があり、
- ホジキンリンパ腫や甲状腺がんのサバイバーでは自然妊娠率が比較的高く、
- 白血病や骨髄移植を受けた人では低い傾向が見られました。
また、治療からの経過年数が長いほど妊娠率が高い傾向も報告されています。
これは、体の回復やホルモンバランスの安定が影響していると考えられます。
👶出産の安全性も明らかに
「がん治療後の妊娠はリスクが高いのでは?」という心配もありますね。
しかし、この研究によると、
- 妊娠高血圧症・早産・低出生体重などの合併症リスクはやや高いものの、
- 大多数の妊娠・出産は安全に経過していることが分かりました。
特に、化学療法後5年以上経過して妊娠した場合、出生児の健康状態は一般集団とほぼ同等でした 。
💬専門家のコメント
研究者たちはこう述べています。「がんを経験したからといって、妊娠の希望を捨てる必要はない。適切な時期とサポートがあれば、自然妊娠は十分に可能である。」そして重要なのは、「個別にリスクを評価しながら計画的に妊活を進めること」。
たとえば:
- 抗がん剤や放射線の種類・投与量
- 治療からの経過期間
- 月経の有無やAMH(卵巣予備能)などの指標
を総合的にみて、妊娠のタイミングを判断します。
🌈希望のメッセージ
がん治療を終えた後の体は、決して「壊れてしまった体」ではありません。科学が示しているのは、生命の力は想像以上に強く、再び芽吹く可能性があるということです。
もちろん、無理をせず、自分の体と心のペースを大切に。そして、主治医や生殖医療の専門医と連携して、「安心して妊娠・出産に向かえる道」を一緒に探していきましょう。
📚出典
Gibson ER, Adamson GD, Grynberg M, Anderson RA.
Unassisted pregnancy rates and outcomes in cancer survivors: a systematic review.
Fertil Steril. 2025;124(5):915–928.
