【津高本院】不妊治療のページです
反復着床不全(RIF)と焦らなくて大丈夫。着床しないときにまず確認したいポイント
体外受精(IVF)を受けていると、「良い胚を戻したのに着床しなかった…」「これは反復着床不全なの?」と心配になる方も多いと思います。
今回ご紹介する論文は、“RIF(反復着床不全)という診断が、時に誤解を生むことがある” という、とても大切なメッセージを伝えています。妊活中のカップルが安心して治療を進めるために、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
🌸そもそも「反復着床不全(RIF)」とは?
一般的にRIFとは、
良好な胚を複数回移植しても、着床(妊娠のはじまり)が起こらない状態を指します。ですが、実はこの“定義”が研究・クリニックによってバラバラで、本当にRIFなのか、それとも別の原因なのかが混ざってしまうことがあるという問題が論文で指摘されています。
🔍論文が指摘する「RIF診断の落とし穴」
① 本来“RIFではない”状態が混ざってしまう
論文によると、ある研究では以下のような方々もRIFと分類されていました:
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮腔内癒着
- 水腫卵管(hydrosalpinx)
- 粘膜下筋腫 など
これらは “明らかな着床妨げ因子” であり、RIFと呼ぶ以前に、治療すべき明確な原因。例えるなら、靴に石が入ったまま「なぜ歩けないの?」と言っているようなもの。まず石(=原因)を取り除くことが大切です。
② 卵巣予備能(AMH)や既往流産が“原因と誤解されがち”
論文では、「AMHが低いからRIFだ」「流産歴があるから着床しない」とする見方は誤解を招きやすい、と指摘しています。実際には:
- AMHは“卵子の数”に関わる指標であり
着床そのものの質を直接下げるわけではない - 流産歴があっても、染色体検査や治療によりリスクは大きく変わる
といった事実があります。
🌼本当に大切なのは「原因を丁寧に探すこと」今回の論文で伝えたい核心はここです。
反復着床不全RIFと呼ばれる前に、
- 子宮の状態
- 卵管の状態
- 子宮内膜の環境
- 胚の質
- ホルモンバランス
これらをきちんと評価することが最重要です。原因が見つかれば、多くの場合、適切な治療で妊娠のチャンスは広がります。
💬妊活中の方へ
「RIF」という言葉はとても強く響くため、一度でも着床がうまくいかないと“自分はRIFなのでは?”と不安が広がりがちです。でも実際には、
- 明らかな治療可能な原因のほうがずっと多い
- RIFと診断できるケースはごく一部
というのが最新の専門家の見解です。どうか必要以上に落ち込まず、気になる場合は医療者と一緒にひとつずつ確認していきましょう。あなたの身体の情報を丁寧に整理することで、次の一歩が確実に見えてきます。
📘 出典
Ata B, Kalafat E, Pirtea P.
Recurrent implantation failure: when study design fails before the embryos.
Human Reproduction. 2025;40(10):2020–2021.