生殖補助医療の治療成績(体外受精/顕微授精/新鮮胚移植/融解胚移植)
当院において2019年から2021年に実施した「体外受精などの生殖補助医療」の集計データです。

胚移植あたりの妊娠率:移植周期あたりの胎嚢が確認できた割合です
新鮮胚移植:採卵した周期に胚移植することです。当院では採卵3日目に良好形態の分割胚があり、かつ移植できる条件が揃っている場合に、希望があれば移植可能としています。
融解胚移植:採卵5~6日目に移植可能に発育した胚盤胞を凍結保存し、別周期に融解して胚移植することです。
- 新鮮胚移植と比較し、融解移植が高い妊娠率を示しています。
- 当院の場合、「新鮮胚移植は採卵3日目の良好形態分割胚を基本として行っています」ので、「良好形態分割胚と判定していても胚盤胞に発育しないことがある」ことも理由の1つとして挙げられます。
- 女性加齢と伴に妊娠率は低下していました。
- これら成績は必ずしも個々の方にあてはまるものではありません。相談の参考にしてください。
当院において2019年から2021年に実施した生殖補助医療の集計データです。
1回の採卵で、少なくとも1回の妊娠や出産があった割合です。

累積妊娠率:新鮮胚移植や融解胚移植の回数に関わらず、1回の採卵で妊娠された割合です。採卵しても胚移植にまで至らないこともありますので、このような指標を示しています。
累積生産率:新鮮胚移植や融解胚移植の回数に関わらず、1回の採卵で生児出産された割合です。妊娠されても出産にまで至らないこともありますので、このような指標を示しています。
- 女性加齢と伴に累積妊娠率・累積生産率ともに低下していました。
- これら成績は必ずしも個々の方にあてはまるものではありません。相談の参考にしてください。
当院において2019年から2021年に実施した生殖補助医療の集計データです。
分割胚移植(採卵3日目の新鮮胚移植)と胚盤胞移植(融解胚移植+少数の新鮮胚移植)の妊娠率の比較を女性年齢40歳未満と40歳以上に分けて示しています。

分割胚移植:当院では、初回採卵で、採卵から3日目に良好形態分割胚があり、移植できる状態が全て揃っている場合の新鮮胚移植しか、分割胚移植をおすすめしていません。
胚盤胞移植:採卵5〜6日目に移植可能な胚盤胞に発育した移植です。ほとんどが採卵周期に凍結し、別周期に融解しての胚盤胞移植です。
- 分割胚移植に比較し、胚盤胞移植の妊娠率が高くなっています。「採卵3日目に良好形態分割胚と判定しても、胚盤胞に発育しないことがある」ことも理由の1つとして挙げられます。
- 胚盤胞移植のほうが「より発育を確認しての移植」と言えます。
- これら成績は必ずしも個々の方にあてはまるものではありません。相談の参考にしてください。
当院において2019年から2021年に実施した生殖補助医療の集計データです。
AMH値と平均採卵数の関係を女性年齢で40歳未満と40歳以上に分けて示しています。

AMH値:卵巣予備機能の指標とされる抗ミュラー管ホルモンの検査値です。
採卵数:当院プロトコールで低刺激法や調節卵巣刺激を行い採卵できた卵子数です。
このデータは必ずしも個々方にあてはまるものではありません。
- 採卵数の予測は、女性年齢・AMH 値のほか、月経3日目の胞状卵胞数や過去の卵巣刺激に対する反応性などを指標にします。
- 採卵数は「卵巣刺激に反応して発育してくる成熟卵胞数」によるところが大きいです。
- 採卵数の目安を8〜12個として卵巣刺激方法を相談して決めます。
生殖補助医療の治療成績(初回採卵に絞った成績)
当院において2019年から2021年に実施した体外受精などの生殖補助医療の初回採卵に絞っての胚移植あたりの妊娠率(胎嚢が確認できた割合)です。
新鮮胚移植:採卵した周期に胚移植することです。当院では採卵3日目に良好形態の分割胚があり、かつ移植できる条件が揃っている場合に、希望があれば移植可能としています。

融解胚移植:採卵5~6日目に移植可能に発育した胚盤胞を凍結保存し、別周期に融解しての胚移植です。

- 新鮮胚移植と比較し、融解移植が高い妊娠率を示しています。
- 当院の場合、「新鮮胚移植は採卵3日目の良好形態分割胚を基本として行っています」ので「良好形態分割胚と判定していても胚盤胞に発育しないことがある」ことも理由の1つとして挙げられます。
- 女性加齢と伴に妊娠率は低下していました。
- これら成績は必ずしも個々の方にあてはまるものではありませんが、相談の参考にしてください。
当院において2019年から2021年に実施した体外受精などの生殖補助医療の初回採卵に絞っての1回の採卵で、少なくとも1回の妊娠や出産があった割合です。
累積妊娠率:新鮮胚移植や融解胚移植の回数に関わらず、1回の採卵で妊娠された割合です。

累積生産率:新鮮胚移植や融解胚移植の回数に関わらず、1回の採卵で生児出産された割合です。妊娠されても出産にまで至らないこともありますので、このような指標を示しています。

- 女性加齢と伴に累積妊娠率・累積生産率ともに低下していました。
- これら成績は必ずしも個々の方にあてはまるものではありません。相談の参考にしてください。
日本産科婦人科学会から2021年の体外受精全国集計が2023年に報告されています
日本産科婦人科学会に体外受精治療の届出をおこなっている施設です。
「治療数からみた施設分布」赤印は当院が該当する施設分布です。
IVF-ET:採卵して通常媒精を実施
Split:通常媒精と顕微授精の両方を実施
ICSI(射出精子):採卵して射出精子を用いて顕微授精を実施
ICSI(TESE精子):採卵して精巣内精子採取で得られた精子を用いて顕微授精を実施
GIFT:腹腔鏡を用いて精子と卵子を卵管内に注入
ART治療周期数
★2021年にART(生殖補助医療)で生まれた児の割合
- 2021年の国内総出生児数 81万1604人
- 2021年に生殖補助医療で出生した児 6万9797人
- 総出生児数に対する生殖補助医療出生児の割合 8.6%
- 11.6人に1人が生殖補助医療で生まれている
年別 出生児数
FET出生児:体外受精または顕微授精して発育した胚を凍結保存し、別周期に融解胚移植しての出生児
ICSI出生児:顕微授精して発育した胚を採卵周期に新鮮胚移植しての出生児
IVF出生児:通常媒精して発育した胚を採卵周期に新鮮胚移植しての出生児
凍結胚の融解胚移植で生まれた児がART出生児の92.7%を占めています。
新鮮胚(卵)を用いた治療成績
新鮮胚(採卵した周期の卵)の治療成績です。
当院の周期数や%を赤字で示しています。
当院での「新鮮胚移植」は、初回の採卵で「卵巣過剰刺激症候群の心配しなくて良い」「ホルモン過剰状態でない」「子宮内膜が8mm 以上ある」など、子宮移植できる環境で、採卵から3日目に形態良好な分割胚があるときに、新鮮胚移植の選択肢の提示を行なっています。
諸条件が揃う方は少なく、また第一選択肢としては胚盤胞までの発育を待っての凍結融解胚移植をおすすめしています。ですので当院の新鮮胚移植の実施周期は多くありません。ですが分割胚では形態良好であっても胚盤胞にまで発育しないこともあります。
凍結胚を用いた治療成績
融解胚移植(通常媒精・Split・顕微授精の媒精方法に関わらず、体外受精で得られた受精卵を凍結し、融解して移植)の全国集計治療成績です。
当院成績を赤字で示しています。
個別の医療機関の成績が報告されているわけではありませんが、自院成績が全国集計と比較して「どうであるか?」は、より良い医療を提供しようという医療機関にとっても、また医療機関を利用されるカップルにとっても、とても重要な情報です。
ただし、女性年齢や治療回数や治療法で成績は大きく異なる可能性がありますので、女性年齢別や治療法別などの成績を確認する必要がありますね。
ART妊娠率・生産率・流産率
妊娠率/生産率は向かって左側の表示(最大値50%)で確認
- 妊娠率/総胚移植:胚移植を行った周期に対する妊娠率(超音波検査で胎のう確認できた割合)
- 妊娠率/総治療:治療あたりの妊娠率(超音波検査で胎のう確認できた割合)
- 生産率/総治療:治療あたりの生産率(生産された割合)
流産率は向かって右表示(最大値90%)で確認
- 流産率:妊娠(胎のう確認)に対しての流産の割合
- 女性年齢36歳頃から、流産率は上昇し、妊娠率・生産率は低下しています。
- 統計データは必ずしも個人にあてはまるものではありません。
年別 治療周期数
FET周期:受精卵凍結(通常媒精/顕微授精に関わらず)して融解胚移植を実施した周期数
ICSI周期:採卵して顕微授精を行い新鮮胚移植した周期数
IVF周期:採卵して通常媒精を行い新鮮胚移植した周期数
- 総治療周期数は、2016年までは毎年増加していましたが、以後はほぼ横ばい状態です。人口減少に伴って望妊治療を行うカップルの減少が影響しているものと思います。このほかにも経済的負担、時間的負担、仕事と治療の両立などの影響もあると思われます。
- 体外受精新鮮移植周期(IVF周期)は、2014年までは少しずつ増加していましたが、以後は横ばい状態から微減していっています。体外受精(通常媒精)より顕微授精が多く、新鮮胚移植は減少する傾向にあります。
- 顕微授精新鮮移植周期(ICSI 周期)は、2016年までは毎年増加していましたが、2015年からは横ばい状態です。体外受精(通常媒精)より顕微授精が多いですが、新鮮胚移植はやや減少する傾向にあります。
- 融解移植周期(FET周期)は、毎年、微増状況にあります。
年別 妊娠率・生産率・多胎率
妊娠率/新鮮胚移植:採卵周期の新鮮移植あたりの妊娠率(胎のう確認の割合)
妊娠率/融解胚移植:凍結胚の融解移植あたりの妊娠率(胎のう確認の割合)
生産率/採卵:採卵あたりの生児出産率(2007年以降、採卵周期から全凍結周期を除外)
多胎率:生産された方のうち多胎であった割合
- 凍結胚移植あたりの妊娠率は少しだけ向上しています
- 凍結胚移植のほうが新鮮胚移植より妊娠率が高くなっています
- 採卵あたりの生産率は女性加齢でのチャレンジの影響もあるのか低下傾向です
- 多胎率は2008年の単一胚移植を基本となってから5%以下になっています
- 統計データは必ずしも個人にあてはまるものではありません
当院の生殖補助医療での妊娠例(開設から2023年6月末まで)
総妊娠:10,414名
生産+継続中:7,544名
流産:2,756名
死産:32名
異所性妊娠:74名
予後不明:8名
妊娠された方の最高値(流産された方を含む)
最高女性年齢:50歳(44歳時に採卵した胚を49歳時に融解移植)
最多採卵回数:37回(最終採卵44歳時)
最多胚移植回数:28回(最終採卵40歳時、最終胚移植40歳時)
出産された方の最高値
最高年齢:47歳(47歳時に採卵した胚を47歳時に融解移植)
最多採卵回数:26回(最終採卵43歳時)
最多胚移植回数:28回(最終採卵40歳時、最終胚移植40歳時)
当院における生殖補助医療2018~2022年に妊娠された方のデータ
【平均採卵回数】
40歳未満1.3回(1-11回)
40歳以上2.4回(1-37回)
【平均移植回数】
40歳未満:2.1回(1-20回)
40歳以上:3.3回(1-23回)
【平均採卵回数】
40歳未満:1.3回(1-11回)
40歳以上:2.1回(1-23回)
【平均移植回数】
40歳未満:2.0回(1-20回)
40歳以上:3.1回(1-23回)