無精子症と診断されたら
- 「無精子症」とは、精液中に全く精子が出現しない(精液中に精子がない)現象で、男性不妊の原因の1つであり、男性の約1%に存在するといわれています
- 無精子症は大きく「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」に分類されます。
閉塞性無精子症:
精路に原因がある場合、
無精子症の約15%
非閉塞性無精子症:
精巣に原因がある場合、
無精子症の約85%
- 非閉塞性無精子症には2つのタイプがあります。
♯1 精巣内で精子が全く造られていないタイプ
♯2 精巣内でほんのわずか精子が造られているが、出てくるほどではないタイプ - ♯2の場合、精巣精子を採取することができれば、精巣精子を用いた体外受精での顕微授精により挙児を得られる可能性があります
- 術前に♯1または♯2を判断することは困難であり、実際に手術をしてみないとわかりませんが、これまでの成績からは、術前検査から下記の表の精子採取率が予測されます
- 無精子症以外にも、精液中に運動精子がない不動精子症、奇形精子症や死滅精子症、逆行性射精、脊髄損傷や糖尿病などによる射精障害の場合にも、精巣内精子採取術が適応となることがあります
conventional TESE(肉眼的精巣精子採取術)と
micro TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)
- conventional TESEは閉塞性無精子症に適応されます。 陰嚢皮膚に小切開(約1cm)を加え肉眼的に精細管を採取します。手術時間は10~30分程度です
- micro TESEは非閉塞性無精子症に適応されます。 陰嚢皮膚に切開(約3cm)を加え、手術用顕微鏡下に精細管を観察し、良好な精細管を選別し採取します。手術用顕微鏡を用いて精巣の中から精子が作られていると推定される精細管(太く白濁した管)を見極めて取り出す手技で、顕微鏡を用いずにランダムに組織を取り出す旧来の手技に比べ、精子採取率や手術の安全性は高くなりました。手術時間は30~90分程度です
- 上記いずれの場合も麻酔は局所麻酔で日帰りで行います
- 手術の合併症は、精巣出血・感染症・男性ホルモン低下などが挙げられます
- 手術費用については、男性検査診療費をご参照ください
- 自治体によっては、男性の検査や精巣精子採取に助成金制度があることがありますので、お住まいの自治体で確認していただいてください
初回micro TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)の成績
下記の表は、川崎医科大学総合医療センターと岡山二人クリニックとの共同研究で、2023年11月の第68回日本生殖医学会にて発表した「非閉塞性無精子症を対象とした初回microTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)142症例の報告内容です。
診察予約・診察日について
- 平日の月~金の9~11時に「086-256-7717(ナビ案内①)」より、精巣内精子採取術TESE希望がある旨をお伝えください。受診日を相談させていただきます。
- 当サイトのご予約ページ「初診および受診間隔6ヵ月以上の方」から「WEBから予約する」に進み、電話で決めた予約時間で予約し、男性用問診票を記入して送信してください。
- 診察当日は、保険証、紹介状、あれば検査結果を持参していただきます。
当院受診後の流れ
- 確認のための精液検査
- 1年以内の結果なければホルモン検査や感染症採血検査
- 検査されていなければ染色体検査(G-Band法)
- 検査されていなければY染色体AZF遺伝子微小欠失検査
これら全ての検査結果が出るまでに約3~4週間かかります。 結果判明後に、下記の男性外来を受診していただき、治療方針や手術日を決定します。
当院の男性外来受診
- 精巣精子採取術を希望される場合、当院の男性外来(土曜日)の診察を事前に受けていただきます
- 男性外来では、精巣容量、精管の診察、精索静脈瘤・精巣腫瘍の有無を確認します
- 男性外来後に手術方法(conventional TESEまたはmicro TESE)を決定します。 術中所見により、conventional TESEからmicro TESEに変更される場合があります