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精子が少ないと言われたら…~停留精巣の既往がある男性に知ってほしい治療戦略~

精子が少ないと言われたら…~停留精巣の既往がある男性に知ってほしい治療戦略~

2026/07/18#研究論文ご紹介

精子が少ないと言われたら…

~停留精巣の既往がある男性に知ってほしい最新治療戦略~

「精子の数が少ないですね」不妊治療中にそう言われ、不安になったことはありませんか?特に、子どもの頃に「停留精巣(精巣が陰嚢に降りてこない状態)」の手術を受けたことがある男性では、大人になってから精子を作る力(造精機能)が低下していることがあります。

今回は、2026年に発表された専門家レビューをもとに、「重度乏精子症(精子数が著しく少ない状態)」「体外受精がうまくいかなかった場合」に知っておきたい最新の考え方をご紹介します。

実際の症例はこんなケース

今回紹介されたのは下記のような方でした
🔹 33歳男性
🔹2歳で停留精巣の手術を受けた
🔹精子濃度:200万/mL
🔹運動率低下
🔹正常形態率:1%
🔹顕微授精(ICSI)を2回実施
🔹毎回十分な採卵数があったにもかかわらず、良好胚はわずか1個

停留精巣だと将来不妊になるの?

停留精巣は出生時に精巣が陰嚢へ下降していない状態です。このような方では手術を早期に受けても、下記のリスクが一般男性より高いことが知られています。
⚠️ 将来の不妊リスク
⚠️ 男性ホルモン低下
⚠️ 精巣がんリスク上昇

そのため、生殖医療専門の泌尿器科医による評価が非常に重要になります。

精子が少ない場合に行うべき検査

専門家が推奨している検査は次の通りです。

精子は将来さらに減る可能性がある

実は重度乏精子症の方では、時間とともに精子が完全になくなってしま「無精子症」
へ進行することがあります。研究では、

だから精子凍結が大切

専門家は、重度乏精子症では早めの精子凍結保存を推奨しています。
理由は下記です。
✅ 将来の無精子症に備えられる
✅ IVF時のバックアップになる
✅ 将来の妊娠希望にも備えられる

注目される「DNA断片化検査」

最近注目されているのが 精子DNA断片化検査です。これは、精子の遺伝子がどれだけ傷ついているかを調べる検査です。
DNA損傷が多いと、
⚠️ 受精率低下
⚠️ 胚発育不良
⚠️ 流産率上昇
⚠️ IVF成績低下
につながることが知られています。

停留精巣ではDNA損傷も多い

研究によると、停留精巣手術歴のある男性ではDNA断片化高値がみられる割合が
18%、両側停留精巣では43%に上昇しました。

精巣から直接採取した精子の方が良い?

ここが今回の論文の重要ポイントです。精液中の精子より、精巣から直接採取した精子(TESE精子)の方がDNA損傷が少ないことが知られています。
そのため過去に
❌ IVFで受精しない
❌ 胚盤胞になりにくい
❌ 良好胚ができない

こいった経験がある場合、TESE精子を使うことで成績改善が期待できる可能性があります。

万一、無精子症になった場合は?

もし将来的に無精子症へ進行しても、 micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)
によって精子が見つかる可能性があります。停留精巣既往のある無精子症患者では、
 46%で精子回収に成功したと報告されています。

患者さんへのメッセージ

体外受精では、卵子や胚ばかりに目が向きがちです。
しかし、

も同じくらい重要です。特に、
✔️ 停留精巣の既往がある
✔️ 精子数が少ない
✔️ IVFがうまくいかない

こういった場合は、生殖泌尿器科医への相談が妊娠への近道になるかもしれません。

まとめ

✅ 停留精巣既往は将来の男性不妊リスクになる
✅ 症例では精子濃度200万/mL・正常形態率1%
✅ 精子濃度100万/mL未満では5年以内に32%が無精子症へ進行
✅ DNA断片化高値は停留精巣既往男性の18%、両側では43%
✅ 無精子症になってもmicro-TESEで46%に精子回収成功
✅ IVF不成功例ではTESE精子の利用が有力な選択肢

妊娠への道はひとつではありません。男性側の評価と治療を見直すことで、新たな可能性が見えてくることがあります🌱

≪出典≫

Brems, Jacob A., and Robert M. Coward. “Expert Approach to Severe Oligospermia in a Patient with Prior Cryptorchidism and In Vitro Fertilization Failure.” F&S Reports, vol. 7, no. 3, 2026, pp. 177–179. 

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