【津高本院】不妊治療のページです
PCOSは「大人の不妊症」だけの病気ではありません
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、「生理不順」「排卵しにくい」「不妊治療で見つかる病気」というイメージを持たれがちですが、実は思春期(10〜19歳)から始まることが多い疾患です。
2023年改訂の国際ガイドラインと、2025年の総説では、思春期PCOSの診断基準が明確に整理されました。
思春期PCOSは珍しくありません
頻度は報告により差がありますが、
- 一般的な思春期女性:約6〜10%
- 肥満がある場合:約15%
- 2型糖尿病がある場合:約20%
決してまれな状態ではありません。
思春期PCOSの診断は「この2つだけ」
思春期では、大人と同じ診断をしてはいけません。
国際ガイドラインで認められているのは、次の2項目のみです。
① 月経不順(初経からの年数に応じて判断)
- 初経1年以内:不順でも正常
- 初経1〜3年:21日未満または45日超
- 初経3年以上:21日未満または35日超
- 90日以上来ない周期があれば注意
- 15歳で初経がない場合も異常
② 男性ホルモン過剰(高アンドロゲン)
- 中等度〜重度のニキビ
- 体毛が濃い
- 血液検査で男性ホルモン高値
❌ 思春期では使わない検査
以下は診断に使いません。
- 卵巣エコーでの「多嚢胞卵巣」
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)
思春期は一時的に卵胞が多く見えるのが正常で、
👉 「エコーで多嚢胞っぽい=PCOS」ではありません。
「PCOS予備軍」という考え方
診断基準を1つだけ満たす場合、
- 月経不順だけ
- 高アンドロゲンだけ
こうした方は**「PCOS予備軍」**とされます。
特に肥満のある思春期では多く、
今すぐ治療よりも、定期的なフォローが大切と考えられています。
将来の妊娠との関係
PCOSは将来、
- 排卵障害
- 妊娠しにくさ
- 妊娠糖尿病や高血圧
などに関係します。
思春期から正しく診断し、過剰診断せず、必要な人を見逃さないことが、
将来の妊娠・出産を守ることにつながります。
まとめ
- 思春期PCOSは2つの基準だけで診断
- エコーやAMHは使わない
- 「予備軍」を見つけ、長く見守ることが大切
PCOSは、早く知るほどコントロールしやすい疾患です
≪出典≫
Pena, Alexia Sophie, and Selma Feldman Witchel.
“Update on Diagnosis of Polycystic Ovary Syndrome during Adolescence.” Fertility and Sterility, vol. 124, no. 5, 2025, pp. 956–961.