【津高本院】不妊治療のページです
子宮内膜症と免疫の関係って?新しい治療のヒント「ハルミン」とは
子宮内膜症があると、痛みだけでなく、妊娠に影響が出ることもあり、治療を続ける中で不安になる方も多いと思います。
今回ご紹介するのは、「子宮内膜症の炎症を抑える新しい可能性」 を示した研究です。しかも注目されたのは──植物由来の成分 “ハルミン(harmine)”。「薬になるの?」「妊娠への影響は?」そんな気になるポイントを、まとめてみました。
🌿 子宮内膜症では“免疫のバランス”が大きく崩れている
子宮内膜症の病変部では
- マクロファージ(免疫細胞)が大量に集まる
- その一部が「M2型」という“炎症を静かに進めてしまうタイプ”に偏りがちといった特徴があると説明されています。
また、内膜症細胞(EESCs)はミトコンドリア機能が乱れやすく、酸化ストレスに弱い ことも知られています
この “免疫×代謝のバランスの乱れ” が、炎症の持続や妊娠しにくさにも関係していると考えられています。
🌟 ハルミンはどんな働きをするの?
今回の研究でわかったことは大きく2つ。
① 子宮内膜症細胞の「代謝(OXPHOS)」を抑える
ハルミンは内膜症細胞の酸化的リン酸化(OXPHOS)を抑えて、細胞の生存を低下 させる。これにより、内膜症病変そのものが小さくなる方向に働く可能性があります。
② “M2型マクロファージ” への偏りを抑える
OXPHOSが活発なときには「エクストラセルラ―アデノシン(eADO)」が増え、それがマクロファージを“炎症を維持するM2型”に誘導します。ハルミンはこの流れを抑え、免疫細胞のバランスを整える 働きがみられました。
🧪 マウス実験では病変の縮小も
研究チームはマウスの内膜症モデルでも検証しています。
- ハルミンを投与したマウスは病変が有意に小さくなった
- eADO(アデノシン)が減少
- M2マクロファージ比率が低下
という、非常に興味深い結果でした。
🚨 ただし、“妊娠への使用” はまだ慎重に
論文では、ハルミンの潜在的な毒性にも触れています。
- 妊娠中のラットで胎盤に悪影響を示した報告 があり、妊娠期での使用は安全性未確立
つまり──“今すぐ臨床で使える薬” ではありません。ですが、「内膜症では免疫×代謝を整えることが重要」という治療方針を裏付ける強い研究と言えます。
🌈 子宮内膜症があっても妊娠は十分可能です
今回の研究が示すのは、子宮内膜症の理解がどんどん深まっている という希望です。治療の選択肢も、ホルモン、外科治療、生活改善、免疫調整…と広がってきました。
子宮内膜症があっても妊娠される方はたくさんいます。焦らず医療者と一緒に最適な方法を考えていきましょう。
✏ 出典(MLA形式)
Lu, Anwei, et al. “Harmine Inhibits Oxidative Phosphorylation, Thus Regulating the Polarization of Macrophages Mediated by Extracellular Adenosine in Endometriosis.” Human Reproduction, vol. 40, no. 10, 2025, pp. 1893–1907.
PDF file: ⑨ Harmine inhibits oxidative ph