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“いつか”のために、今知っておきたい――若い世代の妊孕力のこと

“いつか”のために、今知っておきたい――若い世代の妊孕力のこと

2025/11/24#研究論文ご紹介

🌷はじめに

近年、医師を目指す若い世代の間でも、「いつか子どもを持ちたいけれど、いつがいいのかわからない」という声が増えています。

医学生や研修医の多くは、まさに生殖の適齢期とキャリア形成期が重なる世代。
長時間労働や経済的負担、そして“妊娠への無言のプレッシャー”が重なり、気づけば出産のタイミングを逃してしまうケースも少なくありません。

今回の研究は、カナダ・カルガリー大学の医学生を対象にした大規模調査で、
医学生たちが「どのように将来の妊娠・出産を考えているか」を明らかにしています。

📊結果のポイント

調査に回答したのは、488名の医学生。そのうち約8割が「子どもを持ちたい」と答えた一方で、96%はまだ子どもを持っておらず、多くが「31歳以降に出産を考えている」と回答しました。特に注目すべきは、次の2点です:

つまり、若いうちから“妊娠がハンディになる”と感じている医学生が多いのです。

💬知識のギャップも深刻

妊娠・出産を意識している一方で、年齢と妊孕力の関係を正確に理解している学生はわずか。7問中、平均正答はわずか2問という結果でした。

これらの基礎知識が十分に知られていないことが明らかになりました。
また、医学生の64%が一度も妊娠・出産や不妊治療に関する教育を受けていないと答え、「卒前教育の中で、妊娠・出産・不妊について学ぶ機会がほしい」との声が**86%**にのぼりました

💰経済的な壁

「卵子凍結(OC)や不妊治療を検討したことがある」と答えた学生は約半数(50.6%)。しかし、そのうち8割以上が“費用の問題”を理由に実施できていないと回答しました。さらに驚くべきことに――

98%が、自分の大学や研修先の保険でどの程度の補償があるか知らなかったのです。
教育機関が、こうした情報を明示することで「将来設計の安心感」や「キャリア選択の自由度」を高められる可能性があると、研究チームは指摘しています。

🌼研究が伝えたいこと

この研究が示すのは、「妊娠を考えるタイミングを、もっと早く、もっと自由に考えられる社会を作ろう」というメッセージです。

医師を目指す人たちは、将来多くの患者を支える存在です。その彼らが、自分自身の妊娠や出産を犠牲にしないでいられる環境づくりが、結果的に社会全体の医療の質を高めることにもつながります。

💡まとめ

医学生だけでなく、働くすべての若い世代に共通して言えること。
それは――「キャリアも、家族も、大切にできる準備を“今”から始めること」

妊孕力や不妊治療の知識を早めに知っておくことで、未来の選択肢を広げることができます。そして、医療教育の現場もまた、“命を学ぶ場所”として、「自分の命を育む選択」も教える時代へと進んでいくのです。


📚出典
Bowden S, Panchal M, Pochakom A, Tang S, Metcalfe A, Foong S.
Shifting the focus for fertility and reproductive health to medical students: a survey study building on lessons from surgical trainees.
Fertil Steril. 2025;124(4):769–771.
 

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