【津高本院】不妊治療のページです
②中隔子宮と妊娠へのヒント(子宮の“リズム”を見つめて)
🌷はじめに
「子宮の形に少し違いがある」と聞くと、びっくりする方も多いかもしれません。
なかでも「中隔子宮(ちゅうかくしきゅう)」は、子宮の内側が薄い壁(中隔)で仕切られている状態を指します。この中隔があることで、受精卵が着床しづらくなったり、流産しやすくなったりすることがあると考えられています。しかし「なぜそうなるのか?」という理由は、まだ完全にはわかっていません。
そこで今回の研究では、超音波(エコー)を使って、子宮の動き=“収縮のリズム”を定量的に分析しました。
📊研究のポイント
この研究では、
中隔子宮の女性と、正常子宮の女性、合わせて200名以上を対象に、エコーで子宮の収縮をリアルタイムで観察しました。その結果
- 中隔子宮の子宮では、収縮の方向や強さが不均一であることが判明。
- 特に、受精卵が着床しやすい「子宮上部」では、 正常子宮に比べてリズムの乱れが多くみられました。
- 一方で、収縮の回数そのものは大きく変わらなかったとのこと。
つまり、子宮は“動いている”けれど、その動きの質や流れが違う。これが、着床の難しさの一因かもしれない、というわけです。

🧠なぜ“動き”が大事なの?
子宮の収縮は、単に「動く」だけでなく、受精卵を子宮の中でやさしく運び、最適な場所へ導く大切な役割を持っています。まるで、赤ちゃんを迎えるための「ゆりかごの揺れ」のようなもの。
その揺れ方に乱れがあると、受精卵が“居心地の良い場所”にたどり着けず、着床がうまくいかないこともあるのです。
🌼これからの可能性
この研究は、「中隔を切除すれば妊娠しやすくなるのか?」という従来の問いに加えて、
- 「中隔を治療する前後で、子宮の動きがどう変わるのか?」
- 「エコーで“子宮の動き”を治療の目安にできるのか?」
といった、新しい視点を与えています。つまり、“子宮の形”だけでなく、“子宮の動き”を見る時代へ。これからの生殖医療は、形態的な診断に加えて、「動きのデータ」も治療方針を決めるカギになるかもしれません。
💬まとめ
中隔子宮は、珍しいものではありません。でも、その“中での動き”をエコーで可視化することで、より深く理解できるようになってきました。
🌸「見えなかったリズムを見える化する」それが、未来の妊娠率を上げる一歩になるかもしれません。
📚出典
Sotiriadis A, et al.
Quantitative ultrasound measurement of uterine contractility in septate uterus vs. normal uteri: a multicenter prospective study.
Fertil Steril. 2025;124(10):761–771.