【津高本院】不妊治療のページです
解釈できるAIで変わる?胚選択の新しいカタチ
「見た目が同じ受精卵、AIならどう選ぶ?」
体外受精(IVF)では、複数の胚が同じように見えることがあります。
胚の「形の良さ(形態グレード)」で選ぶのが一般的ですが、同じグレードでも妊娠率が異なることは珍しくありません。
そこで登場したのが、AI(人工知能)を使った胚選択です。今回の研究では、「解釈できるAI(Interpretable AI)」という新しい手法を用い、見た目では差が分からない胚を区別する方法が提案されました【Liu X et al., 2025】。
研究の概要
中国の研究チームは、同じ形態グレードの胚画像データをAIに学習させ、妊娠につながる可能性を予測。
さらに、AIがどの部分を重視して判断しているかを「可視化」できるようにしました。
結果として、AIは人間の目では見逃しやすい微細な構造や質感の違いを捉え、臨床的に有意な予測精度を示しました。
これが患者さんに与えるメリット
- 妊娠率向上の可能性:同じグレードの中でも、より可能性の高い胚を選べる
- 説明の透明性向上:AIの判断根拠が可視化されることで、患者にも納得感が得やすい
- 施設間のばらつき軽減:客観的基準が導入されることで評価の一貫性が高まる
注意点
- 現段階では研究段階であり、すぐに全施設で使えるわけではない
- AIの判断も万能ではなく、他の臨床情報と組み合わせて使う必要がある
さいごに
胚の評価は、医師や胚培養士の経験に大きく依存してきました。
AI技術の導入により、その判断がより客観的かつ説明しやすくなることは、患者さんにとって大きな安心材料になるでしょう。
今後、この「解釈できるAI」が広がれば、胚選択の精度と透明性はさらに高まると期待されます。
≪出典≫
- Liu X, et al. An interpretable artificial intelligence approach to differentiate between blastocysts with similar or same morphological grades. Hum Reprod. 2025;40(5):1039–1053. doi:10.1093/humrep/deaf033