【津高本院】不妊治療のページです
生まれつきの血管の異常があっても、妊娠・出産できる?
25歳女性の、計画的な出産までの道のり
とてもまれな病気ですが、
「出血がなかなか止まらない」
という症状の陰に、
血管の異常が隠れていることが
あります。
今回は、生まれつきの
骨盤の動静脈奇形がありながら、
無事に出産された25歳の方の
症例報告をご紹介します。
❓ 動静脈奇形ってなに?
本来、動脈と静脈の間には
毛細血管という細い網目が
あります。
動静脈奇形(AVM)では、
この網目を介さずに
動脈と静脈が
直接つながってしまいます。
生まれつきのものは、
胎児期の血管のつくられ方の
問題で起こります。
❓ どれくらいまれなの?
とてもまれです。
🔍 生まれつきのAVM:約0.1%
🔍 手術後にできる動静脈シャント:約0.5%
🔍 妊娠後の「子宮筋層の血流増加」:1.5〜6.3%
実は、よく「AVM」と
呼ばれているものの多くは
最後のタイプ(妊娠関連)で、
これは残った妊娠組織が
なくなれば自然に消えます。
❓ どんな経過だったの?
25歳の、まだ妊娠歴のない方が、
不正出血で救急外来を
受診されました。
🔍 経腟超音波
(カラードプラ・パワードプラ)
で、子宮の左側に
血流の速い病変を発見。
🔍 造影CT
で確定診断されました。
❓ どんな治療をしたの?
ご本人は
すぐの塞栓術(血管を詰める治療)を
希望されず、
まず経過観察を選ばれました。
その後、自然に妊娠。
妊娠中は
📅 定期的な超音波で経過を確認
し、合併症なく経過しました。
❓ 出産はどうだった?
大量出血のリスクを考え、
🏥 計画帝王切開
の直前に
🩺 予防的な子宮動脈塞栓術
を行いました。
手術中も術後も
出血などのトラブルはなく、
赤ちゃんにも問題は
ありませんでした。
さらに、産後の造影CTでは
🌟 病変が消失していました。
🌈 まとめ
- 生まれつきの骨盤動静脈奇形はきわめてまれ(約0.1%)
- 「AVM」と呼ばれるものの多くは、実は妊娠後の一時的な血流増加で自然に消える
- 経腟超音波のカラードプラが診断の第一歩になる
- この症例では経過観察ののちに自然妊娠し、問題なく経過した
- 予防的な子宮動脈塞栓術を行ったうえでの計画帝王切開で、無事に出産
- 産後には病変が消失していた
📋 院長からのコメント
きわめてまれな病気の、1例の報告です。同じ経過をすべての方に当てはめることはできませんので、その点はご理解ください。
それでも大切な学びがあります。ひとつは、なかなか止まらない不正出血の背景に血管の異常があることを知っておくこと。もうひとつは、経腟超音波のカラードプラという身近な検査で見つけられるということです。そして、婦人科と放射線科が連携し、妊娠前から出産後まで計画を立てれば、子宮を残したまま出産まで到達できる可能性があるという点です。似た症状でご不安な方は、まずはご相談ください。
📚 出典
Doglioli, Marisol, et al. "True Pelvic Congenital Arteriovenous Malformation in a Patient Seeking Pregnancy." Fertility and Sterility, vol. 126, no. 4, 2026, pp. 751-52.
