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子宮が裏返ってしまう「子宮内反症」― 子宮を残せた貴重な一例
妊娠していない24歳女性に対する、腹腔鏡下の整復手術
「子宮内反症」という言葉を
聞いたことはありますか。
子宮が内側から
裏返ってしまう状態で、
多くはお産の直後に起こります。
でも、妊娠していないときにも
起こることがあるのです。
❓ どんな症例だったの?
24歳の女性です。
過去に顆粒膜細胞腫という
卵巣の腫瘍で
開腹手術を受けた経歴が
ありました。
ある日、
🩸 止まらない子宮出血
で救急搬送され、
腟から壊死した腫瘤が
出てきている状態でした。
❓ 何が起きていたの?
腹腔鏡で確認したところ、
🔄 子宮が完全に内反していた
ことがわかりました。
子宮の内側にできた腫瘤が
重みとなって引っ張り、
子宮が裏返ってしまったと
考えられます。
腫瘤は、病理検査で
子宮腺筋腫と診断されました。
❓ すぐに戻せたの?
いいえ。
最初の施設では
整復を試みましたが
うまくいかず、
止血の処置をしたうえで
専門の施設に
搬送されました。
❓ どうやって治したの?
腹腔鏡と経腟の手技を
組み合わせました。
🔪 子宮の前後に縦の切開を入れ、
締めつけている頸部の輪(絞扼輪)を解除
🔄 内反を整復
🧵 子宮を2層に縫い合わせて再建
🎗️ 将来に備えて、予防的な頸管縫縮を
腹腔鏡下に留置
という流れでした。
❓ その後はどうなった?
6か月後の時点で、
📅 月経周期は不規則
🩸 過多月経はなし
🏠 子宮の形はおおむね正常
という状態でした。
🌈 まとめ
- 子宮内反症は通常お産の直後に起こるが、妊娠していないときにも起こりうる
- この症例では、子宮内の腫瘤(子宮腺筋腫)が原因と考えられた
- 用手的な整復は成功せず、腹腔鏡と経腟手技を組み合わせて整復
- 絞扼輪を切開で解除し、子宮を2層に再建、予防的な頸管縫縮も実施
- 6か月後、過多月経はなく子宮の形はおおむね正常に回復
- 子宮を残せたという報告はきわめて少ない
📋 院長からのコメント
1例の症例報告であり、しかも非常にまれな状態ですので、広く当てはまる内容ではありません。
ただ、「子宮を残す」という目標を掲げたときに、手術がどれほど難しくなるかをよく示した報告だと感じました。緊急の場面では子宮摘出が選ばれることも多い状況です。将来の妊娠の可能性を守るために、技術と経験を結集してここまでできる、という一例として共有する価値があります。月経が不規則である点など、完全に元どおりとはいかなかった部分も正直に報告されており、誠実な論文だと思います。
📚 出典
Protopapas, Athanasios, et al. "Uterus-Sparing Laparoscopic Reversal of Complete Nonpuerperal Uterine Inversion: A Rare Case and Challenging Procedure." Fertility and Sterility, vol. 126, no. 4, 2026, p. 750.
