【津高本院】不妊治療のページです
不妊治療で授かった妊娠、お産のときのリスクは?
1,674万件の分娩データからみた「分娩時子宮摘出」
少しシビアなお話になりますが、
大切な内容です。
お産のときに大量出血などが起きると、
命を守るために
子宮を摘出することがあります。
とてもまれな処置ですが、
不妊治療で授かった妊娠では
やや起こりやすいという
大規模データが発表されました。
❓ どんな研究なの?
アメリカの入院データベースを使い、
2000〜2020年の
📊 16,742,268件(約1,674万件)
の分娩を分析しました。
そのうち
📊 85,321件(0.5%)
が不妊治療による妊娠でした。
❓ どれくらいの頻度なの?
まず、全体としてとてもまれです。
分娩10万件あたりで、
🔍 不妊治療あり:426件
🔍 自然妊娠:184件
でした。
つまり、不妊治療であっても
99.6%以上の方には
起こらない処置です。
❓ 本当に治療の影響なの?
年齢・保険・所得・多胎・
病院の規模など
さまざまな条件を調整しても、
📈 約1.33倍(95%信頼区間 1.20〜1.48)
という関連が残りました。
体外受精などに限ると
📈 約1.40倍
でした。
別の言い方をすると、
不妊治療による出産
🔢 413件に1件
の上乗せに相当します。
❓ 胎盤の異常が原因なの?
それだけではないようです。
胎盤の異常(前置胎盤・常位胎盤早期剥離・
癒着胎盤)がなかった方でも、
📈 約1.40倍
産後出血がなかった方でも、
📈 約1.28倍
とリスクが高いままでした。
まだ解明されていない
別のしくみがありそうです。
❓ 年齢によって違うの?
リスクの「倍率」は
どの年齢層でも似ていましたが、
もともとの頻度が
年齢とともに上がります。
分娩10万件あたり(不妊治療群)、
🔍 30〜34歳:336件
🔍 35〜39歳:546件
🔍 40〜44歳:1,170件
でした。
❓ どうすればいいの?
著者らは、
🏥 妊娠中の丁寧な経過観察
🔍 胎盤の位置や状態のチェック
🚑 必要な設備が整った施設での分娩計画
を提案しています。
🌈 まとめ
- 約1,674万件の分娩を分析した大規模研究
- 分娩時子宮摘出は、不妊治療あり426件/10万件、自然妊娠184件/10万件
- 条件を調整しても約1.33倍(体外受精などに限ると約1.40倍)の関連
- 胎盤異常や産後出血がなくてもリスクは高いまま
- ただし全体としては非常にまれな出来事(99.6%以上には起こらない)
📋 院長からのコメント
数字だけを見ると不安になるかもしれませんが、まずは「非常にまれな出来事」だという点を押さえてください。分娩10万件あたり426件、つまり0.4%程度です。
一方で、胎盤の異常や産後出血がなくてもリスクが残るという結果は、臨床的に重要です。不妊治療後の妊娠では、胎盤の位置や状態をより丁寧に確認し、分娩施設を妊娠中から相談しておくことに意味があります。なお、これは観察研究であり因果関係を証明したものではありません。またこのデータでは不妊治療の記録が0.5%と実際より少なく、重症例ほど記録されやすい偏りがあった可能性も指摘されています。
📚 出典
Thiyagarajan, Shruthi, et al. "Infertility Treatment Is Associated with Peripartum Hysterectomy: A Population-Based Cross-Sectional Study." Fertility and Sterility, vol. 126, no. 4, 2026, pp. 701-11.
