【津高本院】不妊治療のページです
part 2:クリニック選び、「成功率」だけで決めてよい?
🏥 もうひとつのものさし「医療の質」
成功率は、治療の「結果」の数字です。
もうひとつ見ていただきたいのが、
治療の「過程」、つまり医療の質です。
生殖医療の「質」は、結果の数字だけでは決まりません。
🔸 安全な診療体制が整えられているか
🔸 胚を育てる培養室の品質が管理されているか
🔸 納得して選べるだけの説明があるか
🔸 心理的なサポートがあるか
🔸 倫理的な配慮がなされているか
🔸 治療後・出産後まで見てくれるか
つまり「結果」だけでなく、そこに至る「過程」まで含めた「質」ということです。
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、
2003年に設立された
不妊治療専門クリニックの団体(現在28施設)で、
生殖補助医療の質と安全性を高めることを
目的としています。

JISART(日本生殖補助医療標準化機関)
認定施設の成績を、全国平均と重ねてみます。

JISART加盟施設が担う治療は、
📊 年間およそ7万周期(全国の1割強)
JISART施設の移植あたりの妊娠率は
どの年齢でも、全国平均と同じか、
やや上回る水準で推移しています。
ただし、これは比較試験ではありません。
⚠️ 通院されている患者さんの背景も、
治療方針も施設ごとに異なるため、
この差を「実力の差」と読むことはできません。
🔍 認定を受けるには、
患者さんの取り違え防止、培養室の管理、
説明と同意、倫理面など、
450項目以上の基準を満たす必要があります。
※JISARTの認定を受けていない施設の質が低い、
という意味ではありません。
❓ JISARTって、どんな組織ですか?
2003年にできた生殖医療の品質管理のネットワークです。
🏥 加盟施設への認定審査(第三者による訪問審査)
📊 臨床成績の集計・公開(2010年度分から継続)
👶 ARTで生まれたお子さんの予後調査
🔬 2024年度からは施設間で培養成績も集計
審査は医師だけでなく、看護・培養室・心理・
医療事務などに加え、
患者支援団体の代表も参加し、
実際にクリニックを訪れて確認します。
認定は3年ごとに更新され、
質を保ち続けることが求められます。
また、会員施設の治療成績を
決められたルールで集計して公開しています。
💡 数字の出し方がはっきりしていることも、
信頼の手がかりになります。
📋 院長からのコメント
成功率の数字は、患者さんにとっていちばん気になる情報だと思います。ただ、施設ごとの数字は年齢構成も治療方針も違う集団の平均であって、そのまま並べても意味を持ちません。
私たちがJISARTで続けてきたのは、成績を競うことではなく、安全な体制や培養室の品質、説明と心理的支援、そして生まれたお子さんの予後まで含めて、医療を提供する仕組みそのものを点検し合う取り組みです。
数字は結果として後からついてくるもの、というのが実感です。クリニックを選ぶときは、成功率の高さだけでなく、その数字がどう作られているかを説明してくれるかどうかを見ていただければと思います。
📚 出典
・JISART(日本生殖補助医療標準化機関)「治療成績の公開」https://jisart.jp/performance/
・JISART「2024年 JISART成績」https://jisart.jp/wp-content/uploads/2026/06/2024-JISART成績_HP.pdf
・日本産科婦人科学会「2024年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績(ARTデータブック2024)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2024_JSOG-ART.pdf
・厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html