【津高本院】不妊治療のページです
出産時の大出血、その"何年も後"に現れる体調不良のはなし
17年間気づかれなかった、あるホルモンの病気
出産時に大量の出血があった方は
その後 何年も経ってから
原因不明の疲れやだるさに
悩まされることがあります。
今回は、17年越しに診断がついた
症例報告のご紹介です。
❓ どんな病気のことなの?
🏥 シーハン症候群
出産時の大量出血によって
下垂体(ホルモンの司令塔)への
血流が一時的に不足し
組織がダメージを受けてしまう状態です。
❓ どんな症状が出るの?
👶 出産直後:母乳が出ない、
生理が戻らない
😴 その後:原因不明の
強い疲労感、だるさ、
思考力の低下(ブレインフォグ)
このように症状がとても幅広く、
うつ病や別の病気と間違われやすい
のが特徴です。
❓ 今回のケースはどんな経過だった?
28歳で出産時に約3Lの大量出血を
経験した女性が、
17年後、45歳になってから
強い倦怠感や吐き気で受診し、
血液検査で重度のナトリウム低下と
ホルモンの異常が見つかり、
シーハン症候群と診断されました。
❓ なぜこんなに診断が遅れてしまうの?
😔 疲れ・だるさ・気分の落ち込み
など症状が非特異的なため、
医療者側も気づきにくく、
過去の報告では平均で
📅 20年近く診断が遅れる
ケースもあるとされています。
❓ 治療するとどうなるの?
今回のケースでは、
ホルモン補充療法(副腎皮質ホルモン・
甲状腺ホルモンなど)を始めたところ、
📈 治療開始の翌朝には
多くの症状が改善したと
報告されています。
早期に適切な治療を受ければ、
生活の質が大きく改善する
可能性があります。
🌈 まとめ
- 出産時の大量出血は、まれにその後何年も経ってからホルモンの不調として現れることがある
- 症状は疲労感・だるさなど非特異的で、診断が遅れやすい
- 出産時に大出血を経験した方で、原因不明の体調不良が続く場合は、この病気の可能性も考慮する価値がある
- 適切なホルモン補充療法で、症状は大きく改善する可能性がある
📋 院長からのコメント
出産時の大出血から実に17年後に診断がついたという、診断の難しさを物語る貴重な症例です。
ホルモン補充療法を始めた翌日から症状が改善したというのも印象的でした。
まれな病気ではありますが、思い当たる症状が続く方は、婦人科だけでなく内分泌内科への相談も検討してみてください。
📚 出典
Vargo SG, Thomas NJ, Brito KS, Farooqi NA, Chia D. Delayed diagnosis and treatment of Sheehan syndrome: a case report. Fertility and Sterility Reports. 2026;7(4):322-326.
