【津高本院】不妊治療のページです
PCOSとインスリンの関係 ― なぜ大切なの?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵障害やホルモンバランスの乱れによって、不妊の原因になることがあります。最近の大規模研究から、PCOSの女性の多くが「インスリンの働き方」に特徴的な変化を持っていることが分かってきました。
💡 インスリンってなに?
インスリンは、血糖をエネルギーとして体に取り込むための大切なホルモンです。PCOSの女性では、このインスリンの働きに3つの異常が見られることがあります:
- インスリン抵抗性(IR):インスリンが効きにくい状態。
- インスリンクリアランスの低下(MCRI):体がインスリンを分解して処理する力が弱まる。
- インスリン分泌過多:膵臓から必要以上にインスリンを出してしまう。
📊 研究で分かったこと
- PCOS女性の 87.6% がこれらの異常を1つ以上持っている ことが判明しました。
- 特に、3つすべての異常を持つ人は 35.8%。
- これらの異常が多いほど、
- 血糖値の異常(糖尿病予備群など)
- メタボリックシンドローム(高血圧や脂質異常を含む)
- 男性ホルモン(テストステロン)の増加
につながりやすいことが示されました。
🌼 なぜ妊活に関係するの?
高インスリン状態は、卵巣で男性ホルモンを増やし、排卵を妨げる原因となります。つまり、インスリンの乱れは「排卵障害」や「不妊」に直結するのです。
🧡 妊活カップルへのメッセージ
「インスリン」と聞くと糖尿病だけを思い浮かべるかもしれません。でも、実は妊娠しやすさにも深く関係しています。
PCOSの方が「食事・運動・必要に応じた薬」でインスリンの働きを整えることは、将来の妊娠にもプラスの効果があります。
医師と一緒に、ご自身の体の代謝の状態を理解し、無理のないライフスタイル改善から一歩ずつ進めていきましょう。
📖 出典
- Tosi F, Lando MG, Rosmini F, et al. Alterations of insulin sensitivity, clearance, and secretion, either alone or in combination, in women with PCOS: impact on metabolic profile and androgenemia. Human Reproduction. 2025;40(8):1550–1561. https://doi.org/10.1093/humrep/deaf114