【津高本院】不妊治療のページです
凍結胚をあたためる新しい方法 ― ユニバーサルウォーミングとは?
今日は体外受精(IVF)を受けるご夫婦に向けて、「凍結胚を戻すときの新しい方法」についてお話しします。それは ユニバーサルウォーミング(Universal Warming) という考え方です。
胚を「凍らせて守る」技術 ― ガラス化保存
体外受精でできた大切な胚は、すぐに子宮に戻さず、一度「凍結保存」されることがあります。
この方法を ガラス化保存(vitrification) と呼び、世界中で広く使われています。
メリットは、必要なときに安全に胚を戻せること。そして成功率も高い方法です。
しかし、保存に使う「キット(薬剤や手順)」はメーカーによって少しずつ異なります。これまで多くの施設では、凍結と融解(あたため)を同じメーカーのキットでそろえて行う必要があると考えられてきました。
ユニバーサルウォーミングとは?
最新の研究では、「ブランドが違っても同じ方法で胚をあたためられる」ことが証明されました。これを ユニバーサルウォーミング と呼びます。
さらに進化した方法として、複数ステップを踏まずに 「ワンステップ」で胚を戻す準備ができる ことも分かってきました。つまり、手順をシンプルにしつつも、胚の生存率や妊娠率は従来と同じ水準を保てるのです。
研究結果 ― 安全性と効率性
- 生存率:3,000個以上の胚を検討した結果、99.5~100%という非常に高い生存率。
- 妊娠率・出産率:異なるメーカーの組み合わせでも、従来と変わらない良好な結果。
- 赤ちゃんの健康:出生体重や合併症の頻度も従来と同等で、安全性が確認されました。
これにより、施設間での胚の移送や、患者さんが転院する場合でも柔軟に対応できるようになり、コスト削減や効率化にもつながります。
患者さんへのメッセージ
体外受精における「胚の凍結とあたため」は、赤ちゃんとの出会いをつなぐ大切なステップです。今回の研究で分かったユニバーサルウォーミングは、「どの施設でも安心して胚を戻せる」 という未来を切り拓くものです。
医療現場は日々進化しています。患者さんの大切な胚を、より安全に、より効率よく扱える技術が次々と登場しています。その一歩一歩が、皆さんの夢を叶える力になると信じています。
≪出典≫
- Parmegiani L, Vajta G, Lynch C, et al. Universal post-warming dilution of vitrified embryos: impact of different vitrification/warming kits, warming volume and rapid dilution/rehydration steps on survival and clinical outcomes. Reprod Biomed Online. 2025;51(3):104923. doi:10.1016/j.rbmo.2025.104923