【津高本院】不妊治療のページです
①中隔子宮と妊娠の関係(子宮の“動き”を見つめて)
🌷はじめに
妊活を進める中で「子宮の形が少し違う」と言われることがあります。
その一つが「中隔子宮(ちゅうかくしきゅう)」。子宮の中が薄い壁(中隔)で仕切られている状態を指します。
これがあると、受精卵が着床しづらくなったり、流産しやすくなったりすることが知られています。けれど、なぜそうなるのか――そのメカニズムは長い間、はっきりしていませんでした。
そこで今回の研究では、超音波(エコー)で子宮の「動き」=収縮(ペリスタルシス)を定量的に分析し、中隔子宮と正常な子宮の“リズムの違い”を明らかにしたのです

📊研究の概要
イタリアとオランダの共同研究チームは、中隔子宮の女性57人と正常子宮の女性71人を対象に、月経周期のさまざまな時期で子宮の動きを超音波で観察しました。
独自の「スペックルトラッキング解析」という手法で、子宮の筋肉の動きを数値化し、
- 収縮の回数(頻度)
- 速さ(速度)
- 強さ(振幅)
- 前後の壁の連動性(協調性)
といった指標を比較しました。
🧠どんな結果が出たの?
研究の結果、中隔子宮では以下のような傾向が見られました:
- 子宮の収縮が全体的にゆっくりで弱い
- 動きの協調性(リズム)が乱れている
- 特に黄体期(排卵後の着床期)には、通常よりも収縮が多く速くなっていた
つまり――
本来“静かにしているべき着床期に子宮が少し活発に動いている”状態だったのです。この動きの乱れが、「受精卵が着床しづらい」原因の一つになっている可能性があります
🧩中隔子宮のタイプでも違いが
研究では、中隔子宮を「部分型(子宮の一部に仕切り)」と「完全型(子宮を完全に仕切る)」に分けて分析しました。すると、意外なことに――
部分型の方が、収縮の乱れがより顕著だったのです。これは、子宮内で左右の壁の動きが不均一になりやすいためと考えられています。つまり、「仕切りの大きさ」よりも「動きのバランス」が妊娠に影響しているのかもしれません。
🌼未来への期待
これまで「中隔子宮=形の問題」とされてきましたが、この研究はそれに加えて、「子宮の動きそのものを評価する時代が来た」という新しい視点を示しています。
将来的には、
- エコーで子宮の動きを解析して治療方針を判断
- 手術後に動きが改善しているかをチェック
といった応用が期待されています。
💬まとめ
中隔子宮は珍しいものではありません。でも、その“中での動き”を見つめることで、
着床や妊娠の可能性をより正確に理解できるようになってきました。
🌸「形」だけでなく、「動き」にも寄り添う医療へ。
それが、新しい生殖医療の形です。
📚出典
Zizolfi B, Rees CO, Musone M, et al. Quantitative ultrasound measurement of uterine contractility in septate uterus vs. normal uteri: a multicenter prospective study. Fertil Steril. 2025;124(4):728–736.