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多嚢胞性卵巣症候群PCOSと妊娠:知っておきたいリスクと合併症
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を抱える方にとって、妊娠は喜ばしいものですが、その一方でいくつかのリスクも伴うことがわかっています。特に、妊娠糖尿病や妊娠高血圧のリスクが高まることが、近年の研究で明らかにされています。ここでは、PCOSの妊娠中のリスクについて知っておいていただきたいことをご紹介します。
PCOSは妊娠中のリスク因子です
2020年に発表されたカナダでの国家規模の研究(Hum Reprod 2020; 35: 1666. doi: 10.1093/humrep/deaa099)によると、PCOSをもつ妊婦は、非PCOSの妊婦と比較して妊娠糖尿病や妊娠高血圧の発症率が高いことが確認されました。この研究は、2004〜2014年に米国とカナダで出産したPCOSの妊婦14,882名と、非PCOSの妊婦9,081,906名を対象にして行われたもので、肥満や高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などの健康状態も記録されています。
研究結果の概要
以下は、PCOSの方と非PCOSの方での合併症リスクの違いを示したものです(Hum Reprod 2020; 35: 1666. doi: 10.1093/humrep/deaa099)。年齢や肥満、既往歴などの要因を補正した分析の結果、PCOSの妊婦は非PCOSの妊婦と比較して、次のようなリスクがあることが示されています(Hum Reprod 2020; 35: 1666. doi: 10.1093/humrep/deaa099)。

- 妊娠高血圧:1.38倍
- 重症妊娠高血圧症:1.29倍
- 妊娠糖尿病:2.19倍
これにより、PCOSが妊娠糖尿病や妊娠高血圧の独立したリスク因子であることが確認されました。
なぜリスクが高くなるのか?
PCOSの方は、一般的にアンドロゲン(男性ホルモン)が過剰であったり、インスリン抵抗性があることが多く、これが代謝異常や肥満の原因となります。このような代謝的な要因が、妊娠中の合併症リスクを高める要因として考えられています(Hum Reprod Update 2015; 21: 575. doi: 10.1093/humupd/dmv029)。
お子さんへの影響は?
PCOSの方が妊娠した場合、お子さんにも一定のリスクがあることが一部の研究で示唆されています。特に、将来の代謝異常や不妊症のリスクが高まる可能性が指摘されています(Hum Reprod Update 2015; 21: 575. doi: 10.1093/humupd/dmv029)。ただし、この分野での研究はまだ限られており、今後さらに多くのデータが必要とされています。