【津高本院】不妊治療のページです
「どうしてまた…」に寄り添う 反復初期流産の原因と治療について
妊娠したのに、また赤ちゃんが育たなかった——
何度もその悲しみを経験された方にとって、「どうして自分だけ…?」という気持ちは計り知れません。
今回は、**2回以上の早期流産(妊娠10週未満)**を経験された方を対象とした、最新のカナダ生殖医学会のガイドラインをもとに、「反復初期流産(REPL)」について解説します。
反復初期流産(REPL)とは?
従来は「3回以上の連続した流産」が対象とされていましたが、現在では**「2回以上(非連続・化学流産も含む)」**と定義されています。
💡 化学流産とは、妊娠反応(hCG)が陽性になっても胎嚢が確認される前に妊娠が終わってしまう状態です。この新しい定義により、より早期からの検査・治療が可能になりました。
よくある原因と検査
REPLの背景には、さまざまな要因が絡んでいる場合があります。以下は主なものです。
🔹 染色体の異常(夫婦どちらか)
- 約2〜5%に親の染色体構造異常が見つかることも。
- 必要に応じて**夫婦の染色体検査(核型検査)**が推奨されます。
🔹 胎児側の染色体異常(偶発的なもの)
- 特に1回目の流産では70%以上がこの原因。
- 胎児組織の染色体検査(POC検査)でわかります。
🔹 子宮の形の異常(中隔子宮など)
- 子宮の奇形や癒着などがあると着床や妊娠維持に影響。
- 3Dエコーや子宮鏡での検査を行います。
🔹 ホルモン異常(甲状腺・糖代謝・高プロラクチンなど)
- 甲状腺機能低下症や糖尿病予備群、PCOSなども要注意。
- 血液検査でTSHやHbA1cなどをチェック。
🔹 抗リン脂質抗体症候群(APS)
- 自己免疫の異常で胎盤がうまく作られないことも。
- 抗体検査で診断可能。治療すれば妊娠継続率は大きく改善します。
治療の選択肢と考え方
流産を繰り返していると「体外受精+遺伝子検査(PGT)」など高度な医療を希望される方も多くなりますが…
✅ 全員にPGT-Aが有効とは限りません
- 胚の染色体数を調べるPGT-Aは生児率を有意に高めるとは限らないという結果もあり、慎重な判断が必要です。
- 自然妊娠での生児率も高いことから、必ずしもIVF+PGTが最善とは言えません。
✅ プロゲステロン補充療法
- 一部の患者(とくに3回以上の流産+妊娠初期出血がある場合)では、黄体ホルモン補充が有効という報告も。
✅ 抗リン脂質抗体が陽性の場合は?
- ヘパリンと低用量アスピリンの併用治療が効果的とされています。
夫側の影響は?
- 精液検査の基本項目(精子数や運動率)では大きな関連はないものの、DNA損傷が多い精子は流産リスクを高める可能性があります。
- ただし、現時点ではルーチンでの精子DNA検査は推奨されていません。
心のケアも大切に
繰り返す流産は、体だけでなく心にも深い傷を残します。最新の研究では、早期の妊娠サポート(定期的な診察やエコー)や、共感的な医療者の関わりが、妊娠継続に良い影響を与える可能性があると報告されています。
まとめ
2回以上の流産を経験された方でも、80〜90%の方がその後、無事に出産できるというデータがあります。大切なのは、「自分に合った」検査や治療、そして「不安を共有できるパートナーと医療者」と出会うことです。
≪出典≫
- Sierra S, et al. The investigation and management of recurrent early pregnancy loss: a Canadian Fertility and Andrology Society clinical practice guideline. RBMO. 2025;50(3):104456. https://doi.org/10.1016/j.rbmo.2024.104456
