【津高本院】不妊治療のページです
無月経でAMHが低いと言われても、卵巣の力が尽きたわけではない
視床下部性無月経に関する系統的レビュー
強いストレスや体重減少などによる「視床下部性無月経」。
この状態でAMH(卵巣年齢の目安)が低いと言われると、
「もう妊娠できないのでは」と不安になりますよね。
今回はその誤解を解くための研究をご紹介します。
❓ 視床下部性無月経って何?
脳(視床下部・脳下垂体)からの指令が弱まることで、
卵巣への刺激が不足して起こる無月経です。
過度なストレス・体重減少・過剰な運動などが
きっかけになります。
❓ この状態だとAMHはどうなるの?
今回、29件の研究をまとめて分析したところ、
AMHの値は研究によって
📊 高い・低い・変わらないとバラバラで、
一貫した傾向は見られませんでした。
❓ なぜAMHの値がバラバラになるの?
視床下部性無月経では、卵巣自体の力(卵子の数)が
減っているわけではなく、卵巣への刺激が
一時的に不足しているだけのことが多いためです。
そのため、AMHは「卵巣の本当の力」を
正確に反映していない可能性があります。
❓ 実際に治療するとどうなるの?
複数の研究で、排卵を促す治療(注射など)を続けると、
📈 AMHの値が上昇したという報告がありました。
これは、卵巣が刺激を受けて本来の働きを
取り戻したことを示していると考えられます。
❓ 患者さんが知っておくべきことは?
無月経の期間が長いほど、AMHが低く出やすい傾向があります。
「AMHが低い=卵子が少ない」と単純に判断せず、
無月経の原因治療と併せて考えることが大切です。
🌈 まとめ
- 視床下部性無月経では、AMHの値は研究によって高い・低い・変わらないとバラバラだった
- AMHが低くても、卵巣本来の力が尽きたわけではない可能性がある
- 排卵を促す治療によってAMHが上昇した報告もある
- 無月経が長引くほどAMHが低く出やすい傾向がある
📋 院長からのコメント
無月経でAMHが低いと告げられた患者さんが、必要以上に落ち込んでしまう場面を何度も見てきました。この系統的レビューは、そうした場合のAMHの解釈に慎重さが必要であることを、きちんとデータで示してくれる内容です。
ただし全体的なエビデンスの質は高くないとされており、個々のケースについては、無月経の原因や期間を含めて主治医と相談しながら判断していくことが大切です。
📚 出典
de Jong SMH, de Kat AC, Schoonmade LJ, Hillebrand JJ, van Wely M, van Loendersloot LL. Ovarian reserve markers in World Health Organization type 1 anovulatory disorders: a systematic review and meta-analysis. Reproductive BioMedicine Online. 2026;53(3):105768.
