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採卵の"トリガー注射"がなくても、卵子が採れた奇跡的なケース

2026/09/14#研究論文ご紹介

~妊娠中に始まった採卵周期という、まれな出来事~

がん治療の前に卵子を凍結保存する「妊孕性温存」。

その最中に、実はすでに妊娠していたことが判明した、というまれな症例をご紹介します。

❓ どんな状況だったの?

乳がんと診断された32歳の女性が、抗がん剤治療の前に卵子凍結を行うことになりました。

排卵日を問わずすぐに始められる「ランダムスタート」という方法で採卵の準備を始めましたが、実は治療開始前に、すでにごく初期の妊娠をしていたことが、刺激中の検査で判明しました。

❓ 普通は"最後の注射"(トリガー)が必要なはずでは?

はい、通常は排卵を促す最後の注射(トリガー)が必要です。

しかし今回は、既に妊娠していたことで体の中の妊娠ホルモン(hCG)が非常に高い値になっており、このホルモンがトリガーと似た働きをした可能性があります。

❓ 結果はどうだったの?

トリガーの注射をせずに採卵したところ、📊 9個の成熟した卵子が採取でき、未成熟な卵子はゼロでした。

体からの自然なホルモンだけで、卵子が十分に成熟していたということです。

❓ その後どうなったの?

複数の科(生殖医療・腫瘍内科・妊娠初期対応)でよく話し合った結果、ご本人は人工妊娠中絶を選択し、予定通りがん治療を継続することになりました。

軽度の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が見られましたが、安全に経過しました。

❓ これって、よくあることなの?

いいえ、非常にまれなケースです。
研究者たちも「複数の成熟卵子が、トリガー注射なしで採れた」という報告は他に見たことがないとしています。

🌈 まとめ

📋 院長からのコメント

がん治療前の妊孕性温存の最中に妊娠が判明するという、非常にまれで対応の難しい状況の症例です。多職種でしっかり話し合いながら進められた点が印象的でした。

ただし、極めて特殊な1例であり、通常の採卵方針の参考にはなりませんので、その点はご理解ください。

📚 出典

ElFarran MS, Palinska-Rudzka K, Mathur R. Mature oocyte retrieval without an exogenous trigger during random-start stimulation in a very early intrauterine pregnancy: a case report. Fertility and Sterility Reports. 2026;7(4):327-331.

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