【津高本院】不妊治療のページです
第15回せとうちART/SRHR研究会参加報告
2026年4月12日 広島駅近くの広島コンベンションホールにて、
第15回せとうちART/SRHR研究会を2026年4月12日(日曜日)に広島コンベンションホールにて開催されました。
当番世話人である絹谷産婦人科理事長である絹谷正之先生のもと『日本のART/SRHRの未来を考える』をメインテーマに開催されました。
ART(生殖補助医療)だけでなく「SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights)」の理念も加わり、より広範で包括的な生殖医療のあり方を探求する場となっております。以下 研究会の内容からご紹介します。
卵子の質は「育ち方」で変わる時代へ
不妊治療をしていると、「卵は取れているのに、なぜ結果が出ないの?」そんな疑問や不安を感じることはありませんか?
最近の研究では、卵子の質は単に大きさや数だけでなく、卵子と周囲の細胞との“コミュニケーション(対話)”によって決まることが分かってきました。卵子は実はとても能動的な存在で、周囲の細胞に指示を出しながら、自分が育ちやすい環境を整えています。つまり、
👉 卵胞は「ただ大きくなる」のではなく
👉 「中身がしっかり作り変えられている」
ことが大切なのです。
年齢ごとの「現実的な目安」を知ることも大切
治療を進めるうえで、目安となるデータもあります。たとえば、正常な受精卵を1つ得るために必要な採卵数は、
- 34歳以下:約7個
- 37〜38歳:約10個
- 39〜40歳:約14個
- 41〜42歳:約27個
と報告されています。この数字を見ると驚くかもしれませんが、これは「追い詰めるための数字」ではありません。むしろ
👉 治療の見通しを立てるための“地図”
👉 無理のない計画を立てるための指標
として役立つものです。
卵子にとって大切なのは「数より環境」
卵子の質に大きく影響するのが、卵胞の中の環境です。特に注意したいのが「早期黄体化」という状態。これは採卵前にホルモン(プロゲステロン)が上がってしまう現象です。このとき卵胞の中では、
- ストレスホルモン(コルチゾール)が増える
- 炎症が起こる
といった変化が起こり、
👉 卵子にとって“居心地の悪い環境”になる可能性があります。
そのため最近では、「とにかく数を増やす」よりも
👉 卵子が育つ環境を整えること
がとても重視されています。
PPOS法が選ばれる理由
最近よく使われる「PPOS法」という方法があります。これはホルモン剤を使って排卵をコントロールする方法ですが、一見「体に負担がありそう」と感じる方もいるかもしれません。しかし実は、
- 合成ホルモンは炎症を起こしにくい
- 卵胞内の環境を安定させる
というメリットがあります。つまり、
👉 卵子にとって“穏やかな環境”を保ちやすい方法といえます。
「採卵のタイミング」が未来を左右する
これまで採卵は「卵胞が20mm前後になるまで待つ」のが一般的でした。しかし最近では、特に年齢が高い方では
👉 14〜16mmで採卵した方が質が良い場合があることが分かってきています。
卵胞は実は「もう準備できているよ!」というサインを出していることがあり、それを見逃すと、
👉 卵子が“成熟しすぎて質が低下する”こともあるのです。
あなたに合った治療がいちばん大切
不妊治療には「正解がひとつ」ということはありません。大切なのは、
- 年齢
- 卵巣の状態
- ホルモンの変化
を見ながら、
👉 その人に合った方法を選ぶことです。
そしてもう一つ大切なのが、
👉 主治医との対話 検査値や治療内容の意味を理解することで、不安が少しずつ「納得」に変わっていきます。
さいごに
妊活は、ときに先が見えず不安になるものです。でも、今回ご紹介したように医療は日々進歩し、「なぜうまくいかないのか」に対する理解も深まっています。
あなたの卵子は、ちゃんと“メッセージ”を出しています。その声に耳を傾けながら、一歩ずつ進んでいきましょう🌿
📚出典
・第15回せとうちART/SRHR研究会(シンポジウム2 教育講演「調節卵巣刺激」、共催フェリング・ファーマ株式会社)
座長:浅井 淑子先生
演者:島田 昌之先生/江夏 国宏 先生
