【津高本院】不妊治療のページです
「体重を減らせば排卵する?」PCOSと減量の“現実的な関係”
体重を減らせば排卵が戻りますか?
これは、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)でお悩みの方から、とてもよくいただく質問です。最近、この疑問に対してとても丁寧に調べた研究が発表されました。今回はその内容を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
PCOSでは、卵胞の育ち方が少し独特です
PCOSの方には、下記がよくあります。
- 卵胞がたくさんできる
- でも「どれが主役になるか」が決まりにくい
- 結果として排卵に至らないことがある
この研究では、PCOSで体重が多めの女性を対象に、約3か月間の減量を行い、その前後で卵巣の中を2日に1回、超音波で詳しく観察しました。
体重が減ると、卵巣の中では何が起きた?
平均で**体重の約8%**が減った結果、次のような変化が見られました。
◎ 良い変化
- 卵胞が「無秩序に次々出てくる」状態が減った
- 卵胞の成長が、より周期的で整理された形に近づいた
- 排卵が起きた場合、黄体ホルモン(妊娠に重要)が増える傾向があった
👉 つまり、卵巣の環境そのものは整ってきたと考えられます。
でも、排卵が必ず起きるようになったわけではありません
一方で、この研究では
- 排卵の回数そのもの
- 毎月きちんと排卵するようになる割合
は、全体としては大きく増えませんでした。
とくに、もともと下記の方は、短期間の減量だけでは排卵まで至りにくい傾向がありました。
- 内臓脂肪が多い
- インスリン抵抗性(血糖を下げにくい体質)が強い
この研究から分かる、大切なメッセージ
この研究が教えてくれるのは、次のような現実的で前向きな事実です。
- 減量は「無意味」ではない
- 卵巣は、ちゃんと良い方向に反応している
- ただし、短期間で“自然排卵が必ず戻る”と期待しすぎないことも大切
体重管理は、
- 将来の排卵の土台づくり
- 治療への反応を良くする準備
と考えると、とても意味のある取り組みです。
さいごに:ひとりで頑張らなくていい
体重のこと、排卵のこと、治療の選択肢のこと。
- 生活改善
- 薬物治療
- 必要に応じた不妊治療
これらをその方の体質に合わせて組み合わせることが、妊娠への近道になることが多いのです。「今の自分には、何が一番合っているのか?」一緒に考えていきましょう。
≪出典≫
- Carter FE, et al. Changes in antral follicle dynamics following weight loss in women with polycystic ovary syndrome. Human Reproduction, 2025.