【津高本院】不妊治療のページです
PGT-Aでの“部分的な異常”、本当に心配?最新データをやさしく解説
“胚のフラジャイルサイト”って知っていますか?
妊娠を目指して治療を頑張っておられる皆さん。今日は少し専門的に聞こえるかもしれませんが、実は「あなたの妊娠のチャンス」を理解する上でとても大切な最新研究のお話を、できるだけやさしくまとめました。
難しい言葉はスッと読み流していただいて大丈夫。“あ、そういうことなんだ” と安心材料になる内容です。
🧬 そもそも「セグメンタル異数性」って?
胚(=赤ちゃんのもとになる細胞)が育っていく中で、染色体の一部分だけが増えたり減ったりしてしまう現象 を指します。
- 全体が多い/少ない「全染色体異数性」とは別物
- 一部分だけのコピー数が変わる“部分的な変化”
PGT-A(着床前遺伝学的検査)では、このような細かな変化も分かるようになってきました。
🔍 今回の研究のポイント(とても簡単に)
✔ セグメンタル異数性が起こる場所は “フラジャイルサイト” と呼ばれる弱いポイントに集中していた
フラジャイルサイト = 壊れやすいゲノム上の領域
そこは細胞が増えるときにストレスがかかりやすく、切れやすい場所でもあります。
✔ “年齢に関係なく” 起こっていた
20代でも40代でも起きており「これは加齢による卵子の問題だけではなく、受精後の細胞分裂でも起こるんだな」ということが分かりました。
✔ しかも“割とよく起こる”
5〜10%(報告によってはそれ以上)の胚に見られることもあります。
🌟 じゃあ、セグメンタル異数性がある胚は妊娠できないの?
ここが大切です。“すべてのセグメンタル異数性がダメというわけではない”、ということ。
- 受精後の細胞分裂の途中だけで起こる「モザイク」であれば
→ 胎児になる細胞が健康なら妊娠・出産につながることも - 実際、セグメンタル異数性があった胚からの健康な出産例も報告されています(Besser et al., 2024)。
PGT-Aで異常と出た場合でも、「種類・場所・大きさ」や「どの細胞で起こったか」によって結果は大きく変わります。
💡 この研究から分かる “希望と安心”
① あなたの卵子の“質のせい”とは限らない
“私が悪いのかな…”と責める必要は全くありません。多くは受精後の自然な細胞分裂の中で起きます。
② 胚の“壊れやすいポイント”はみんな同じ場所にある
特殊なことが起きているわけではなく、“もともと壊れやすい場所”があり、誰にでも起こりうる現象です。
③ セグメンタル異数性=即「移植不可」ではない時代へ
最近はより慎重に評価され、「移植の選択肢になる場合」も増えています。
治療の出口を広げてくれる、前向きな知見と言えます。
📝 出典
Elaine de Quadros et al. Blastocyst segmental aneuploidy breakpoints are highly correlated with human genome fragile sites. Human Reproduction, 2025.