【津高本院】不妊治療のページです
ホルモンとAIがつなぐ未来――プロゲスチン刺激法の進化
🌼はじめに
体外受精(IVF)では、卵巣を刺激して複数の卵子を育てる「卵巣刺激」が欠かせません。その方法のひとつに、最近注目を集めているのが「プロゲスチン・プライム法(Progestin-Primed Ovarian Stimulation:PPOS)」です。
この方法は、従来の注射薬(GnRHアンタゴニスト)ではなく、**飲み薬のホルモン(プロゲスチン)**を使って排卵を抑えるというもの。体への負担が少なく、費用面でもメリットがあります。そして今、このPPOS法の研究に**AI(人工知能)**が関わり始めています。

🤖AIが教えてくれる「卵の育ち方」
今回紹介する論文では、
14,981件の卵子提供周期を対象に、
PPOS法と従来法(GnRHアンタゴニスト法)を比較しました
その結果――
- 卵の生存率は PPOSの方がやや高い(90.2% vs 88.4%)
- 胚盤胞(受精卵が発育して着床できる段階)への到達率も高め
- 妊娠率・出産率は両群でほぼ同等
という結果でした。
さらにAIが、胚の形態(見た目の良し悪し)を分析することで、
どんな卵がより良い発育を見せるのかを精密に評価しました。
💬AIにできること、AIにできないこと
AIは膨大なデータをもとに、「どんな卵が良い結果につながるか」を予測するのが得意です。しかし、研究者たちはこうも述べています:「AIは“定義できる問題”には強いけれど、“人の希望”までは最適化できない。」
たとえば、
- どんな治療を受けるか?
- どんなタイミングで挑戦するか?
- どこまで続けるか?
これらは、データではなく「人の想い」で決まること。
AIが導くのは、医師と患者さんがより良い選択をするための“補助線”にすぎません。
🌷PPOS法が示す新しい時代
PPOS法は、「確実な結果」だけでなく「心と体にやさしい治療」を実現するための方法でもあります。AIが卵の質や発育を評価し、医師がその結果をもとに最適な刺激法を提案する。
🌸 “AIと人が協力して、より自然で安心できる妊活を”そんな未来が、少しずつ形になってきています。
📚出典
Chervenak J, Murugappan G, Kim J, Minjarez D.
Progestin-primed ovarian stimulation: what new evidence shows about the role for artificial intelligence in clinical decision making.
Fertil Steril. 2025;124(10):651–652.