【津高本院】不妊治療のページです
卵子・精子を守るだけじゃない。心も支える“がんと妊よう性”の新しい考え方
🌱がん治療と「未来の家族」
がんの治療は命を守るために欠かせません。けれど同時に、治療によって卵子や精子がダメージを受けることがあり、「将来、子どもを持てるのだろうか」と不安に感じる方が少なくありません。
とくに思春期~40歳前後の世代(AYA世代)では、“将来の家族を持つこと”が人生の大切な目標である方も多く、妊よう性の問題が心の健康にも大きく影響することがわかっています。
💬妊よう性を守る選択と“こころ”のケア
がん治療前に、**卵子凍結・精子凍結などの「妊よう性温存」**を選択できる場合があります。
アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)は、がん診断時に「妊よう性について説明し、希望があれば専門医に紹介すること」を標準的な医療の一部として推奨しています。
ただし実際には、
- 時間の余裕がない
- 費用が高い
- 医師や施設によって対応が違う
といった理由で、温存に踏み切れないケースも少なくありません。
💭後悔しないために大切なこと
研究によると、妊よう性温存を行った人の多くは「やってよかった」と感じている一方で、温存をしなかった人の中には、「あの時やっておけば…」と後悔を抱く人が一定数いるそうです。
たとえ保存した卵子や精子が使えなかったとしても、「自分で未来を選べた」という実感が心の安定につながるのです。
💗心のサポートが“もう一つの治療”
がんと妊よう性をめぐる悩みは、とても個人的でデリケートです。不安・後悔・怒り・罪悪感……いろんな感情が交錯します。
この論文では、「メンタルヘルス専門家を医療チームに加えること」が、患者の心の健康を守るうえで重要だと提言されています。診断時、治療中、治療後――どの段階でも気持ちを話せる場所があることが、“希望をつなぐ力”になるのです。
🌸まとめ
がんと向き合いながら、“未来の家族”を考えること。
それは決してわがままではありません。
- 自分の気持ちを大切にすること
- 選択肢を知ること
- 必要なら心のケアを受けること
この3つが、治療の一部として大切です。
命と同じように、「あなたの未来」も守っていいのです。
📚出典
Stal J, Benedict C, Partridge AH, Pozo-Kaderman C, Mack JW.
Fertility preservation and mental health among cancer patients of reproductive age. Fertil Steril. 2025;124:612–618.
