【津高本院】不妊治療のページです
卵子を若返らせても、体の“年齢”は嘘をつかない?
最近では「卵子提供」によって高年齢でも妊娠を目指せる時代になりました。しかし――体の“受け入れる力”までは、卵子提供では補えないことがわかってきています。
アメリカで行われた大規模研究(Fertility and Sterility 2025年)によると、卵子提供を受けても、母体の年齢が上がるほど妊娠率・出産率は年々少しずつ低下していました。つまり、卵子が若くても、「妊娠を支える母体側(子宮・血流・免疫など)」の機能は年齢とともに変化しているということです。
「数字で見る“年齢の壁”」
研究では、卵子ドナーはすべて若年女性でしたが、受け取る側(レシピエント)の年齢が上がるほど、出生率は年間約2〜3%ずつ低下していました。例えば、40歳での成功率を100とすると、45歳ではおよそ85〜90程度に下がるイメージです。
一方で、流産率や妊娠合併症(妊娠高血圧症候群、糖代謝異常など)は母体年齢とともに上昇していました。
「年齢による違いは“卵”ではなく“環境”にある」
この研究結果が教えてくれるのは、「妊娠の成功=卵子の若さだけではない」ということ。受精卵を迎え入れる子宮環境、ホルモンバランス、血管の柔軟性、免疫の働きなど、体全体が調和してこそ妊娠が成立します。
ですから、「今すぐ妊娠を」と焦る必要はありませんが、できるだけ早く準備を始めることが、未来の選択肢を広げる一歩になるのです。
「“年齢”に寄り添う生殖医療へ」
近年の生殖医療では、年齢に応じて「身体のコンディションを整える」「子宮環境を整える」「生活習慣を見直す」といったトータルケア型のアプローチが注目されています。
ホルモンだけでなく、睡眠、ストレス、食事も立派な“治療の一部”です。医療の進歩とともに、私たちは「年齢に寄り添う治療」を選べる時代に入っています。
📚出典
Gunderson M, et al. Advanced maternal age was associated with an annual decline in reproductive success despite use of donor oocytes: a retrospective study. Fertil Steril. 2025;124(5):820–828.
https://doi.org/10.1016/j.fertnstert.2025.08.002
