【津高本院】不妊治療のページです
どちらを選んでも安心? レトロゾールとタモキシフェン併用の効果
乳がんは女性に最も多いがんのひとつで、治療により将来の妊娠に影響することがあります。特に化学療法は卵巣機能を低下させるため、治療開始前に卵子や胚を凍結しておく妊よう性温存(fertility preservation) が推奨されています。
🔹なぜレトロゾールやタモキシフェンを使うの?
卵巣刺激で卵子を育てる際、通常より高いエストロゲンが体内で作られます。しかし、ホルモン受容体陽性乳がん では、この高いエストロゲンが腫瘍の増殖を促す可能性があるため注意が必要です。
そこで、卵巣刺激中に レトロゾール(アロマターゼ阻害薬) や タモキシフェン(選択的エストロゲン受容体調整薬) を併用することで、エストロゲンの影響を抑えながら、安全に卵子を育てる工夫がされています。
🔹研究から分かったこと
今回の大規模研究(290人、354周期)では、レトロゾール群(215周期)とタモキシフェン群(139周期)を比較しました。その結果…
- 採卵数:両群でほぼ同じ(平均13~15個前後)
- 卵子の成熟率:レトロゾール86%、タモキシフェン83%で差なし
- 凍結できた卵子や胚の数:どちらも同等
- 受精率や胚の質:大きな違いなし
つまり、どちらを選んでも将来の妊よう性温存の成果は変わらない という結果でした。
🔹患者さんにとっての意味
この研究から、「レトロゾールでもタモキシフェンでも安全性・有効性は同等」と分かりました。つまり、
- 医師が患者さんの年齢やがんのタイプ、全身の状態に応じて選択できる
- どちらを選んでも「卵子を守れる」という安心感がある
という大きなメリットがあります。
まとめ
乳がんと診断されたとき、治療を最優先することはもちろんですが、「未来の妊娠の可能性を残すこと」もとても大切です。
今回の研究は、乳がん患者さんにとって妊よう性温存が安全に行える道が広がっている ことを示しています。
「治療を始めたいけれど、将来子どもを持てる可能性を残したい」――そう考える方にとって、医療は日々進歩し、選択肢が増えているのです。
≪出典≫
- Lifshitz D, Ben-Haroush A, Meirow D, et al. Letrozole or tamoxifen co-administration during fertility preservation for patients affected by breast cancer. Reprod Biomed Online. 2025;51(3):104878. doi:10.1016/j.rbmo.2025.104878