【津高本院】不妊治療のページです
PCOSと不妊治療 ― なぜ病院によって使う薬が違うの?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の代表的な原因で、挙児希望カップルの中でも多くの方に関係する病気です。
排卵をうながすお薬として、クロミフェン(クロミッド®など)やレトロゾールが使われていますが、「病院によって使う薬が違う…」と感じた方はいませんか?
実は、これは最新の研究でも指摘されている大切なポイントなのです
💊 レトロゾールが第一選択の理由
2018年の国際ガイドラインでは、PCOSに関連する不妊治療の第一選択薬はクロミフェンではなくレトロゾールとされています。
なぜなら…
- 排卵率が高い
- 妊娠・出産率も高い
- 多胎妊娠のリスクが低い
といったメリットがあるからです。
📊 研究でわかったこと
アメリカの大学病院と全国調査のデータを比較すると:
- 大学病院(PCOS専門センターあり)
- ガイドライン後は、レトロゾール使用が約79%にまで増加
- 全国の医師(REI専門医への調査)
- レトロゾールを使う医師は36%程度
- まだ半数近くがクロミフェンを第一選択として使用
つまり、「学会の推奨」と「実際の現場」には大きなギャップがあることがわかりました
🤔 なぜギャップがあるの?
- 医師の年代や経験によって処方傾向が異なる
- 専門医以外(一般婦人科医やプライマリケア医)は、従来のクロミフェンを使うことが多い
- ガイドラインが現場に浸透するまでに平均で17年かかる、という報告も
🌱 カップルへのメッセージ
- PCOSの排卵誘発には「どの薬を選ぶか」がとても重要です。
- 最新のエビデンスではレトロゾールが第一選択とされています。
- 治療を始める前に「先生はどのお薬を第一選択にしていますか?」と聞いてみても良いかもしれません💡。
📚 出典
- Kim AE, Applebaum J, Lee IT, et al. Variable adoption of polycystic ovary syndrome–related infertility guidelines in the United States: a retrospective cohort and survey study. Fertil Steril. 2025;124(2):366–368. doi:10.1016/j.fertnstert.2025.03.003