【津高本院】不妊治療のページです
排卵をお休みするメリット、知っていますか?
「“卵巣を少し休ませる”という新しい発想 〜オバリオスタシスとは?〜」
私たちの体は、毎月の排卵と月経を繰り返すことで妊娠のチャンスを作っています。
しかし実は、この「排卵の多さ」そのものが、子宮内膜症、卵巣嚢胞、過多月経、月経困難症など、さまざまな婦人科のトラブルの原因になっていることが分かってきています。
近年注目されているのが 「オバリオスタシス(ovariostasis)」 という考え方です。
これは「排卵と卵巣の周期的な活動を、一時的にお休みさせること」。妊娠や授乳の時期と似た状態を、薬の力で作る方法です。
どうやって行うの?
オバリオスタシスは、以下のようなホルモン治療で実現します。
- 低用量ピル(COC)
- 黄体ホルモン単剤(POPs)
- 膣リングや経皮パッチ
- GnRHアゴニスト/アンタゴニスト
これらは排卵を抑え、卵巣を「お休みモード」にします。
メリット
- 子宮内膜症や卵巣嚢胞の発症・再発予防
- 月経痛・過多月経の改善
- 卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスク低減(長期的効果)
- 将来的に卵巣の老化をゆるやかにする可能性(動物実験や一部の観察研究より)
注意点
- 使用中は妊娠できません(やめれば多くの場合、すぐに排卵は戻ります)
- 稀に静脈血栓症や乳がんリスクの上昇があるため、持病や年齢によっては注意が必要
- 一部の人では気分変化や不正出血などの副作用が出ることもあります
妊娠を望む方へのポイント
妊活をすぐに始める予定がない場合でも、卵巣を守りながら将来の妊娠のために備える選択肢として、オバリオスタシスは有効かもしれません。
大切なのは「今」と「将来」のバランスをとった計画です。婦人科専門医と相談し、自分に合った方法を選びましょう。
≪参考文献≫
- La Marca A, Selmi C. ‘Ovariostasis’ as the main preventive and therapeutic strategy for gynecological pathologies in women of reproductive age. Hum Reprod. 2025;40(6):983–988. doi:10.1093/humrep/deaf063