【津高本院】不妊治療のページです
反復流産に潜む“免疫の過活動”とは
「なぜ流産を繰り返すのか?」―子宮内膜から見えた新しい手がかり
妊娠は受精卵と母体の「共同作業」です。その中でも、受精卵が着床する子宮内膜は、妊娠の成立と維持に欠かせない役割を果たしています。
近年の研究で、反復流産(Recurrent Pregnancy Loss:RPL)の女性は、排卵後ではなく**排卵前の子宮内膜(増殖期)**から、すでに免疫の働きに違いがあることが分かってきました【Koot YE et al., 2025】。
研究の概要
オランダと英国の研究チームは、反復流産の女性と健常な女性の子宮内膜を比較。
その結果、増殖期の子宮内膜で免疫関連遺伝子の発現が高まっているパターンがRPL群に多いことを発見しました。
この「免疫過活性化」は、着床前から子宮内環境に影響を与え、胚を受け入れにくくしている可能性があります。
この発見の意味
- 早期診断の可能性
従来は黄体期(排卵後)の検査が中心でしたが、増殖期の検査でもRPLの特徴が分かる可能性があります。 - 新しい治療法のターゲット
免疫のバランスを整える薬や生活習慣改善が、流産予防に役立つ可能性。 - 個別化医療への一歩
遺伝子発現パターンによって、原因や治療法をより正確に選べる未来が期待されます。
医師からのメッセージ
「流産を繰り返す理由が分からない」という方にとって、この研究は大きな希望です。着床や妊娠維持は、受精卵だけでなく母体側の準備状態にも左右されます。
もし流産が続く場合は、免疫や子宮内膜の検査を視野に入れて、治療の幅を広げていきましょう。
≪出典≫
- Koot YE, et al. Upregulation of immune genes in the proliferative phase endometrium enables classification into women with recurrent pregnancy loss versus controls. Hum Reprod. 2025;40(4):758–770. doi:10.1093/humrep/deae299