【津高本院】不妊治療のページです
「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」の名前が変わりました
8人に1人の女性に関わる、100年ぶりの名称変更
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)。
排卵がうまくいかない原因として
よく知られた病名です。
実はこの名前、
2026年に変更されました。
新しい名前はPMOS
(多内分泌代謝卵巣症候群)。
なぜ変わったのでしょうか。
❓ そもそも何人くらいに関わるの?
世界で
👩 女性の8人に1人
が該当するとされる、
とても身近な状態です。
❓ なぜ名前を変えたの?
古い名前が
「正確ではなかった」からです。
🚫「多嚢胞性」=病的な嚢胞がある
🚫「卵巣」=卵巣そのものの病気
このどちらも、
実は正しくありません。
名前のせいで
診断が遅れたり見逃されたり、
診療への不満につながってきた、
と指摘されています。
❓ 科学的にはどう理解されているの?
ゲノム解析が進み、
関係する遺伝子は
🩸 インスリンの働き
🧬 性腺刺激ホルモンの働き
⚖️ アンドロゲン(男性ホルモン)の合成
に関わるものが中心だと
わかってきました。
つまり、脳-下垂体-卵巣の軸と
代謝のしくみが
同時に関わる状態です。
卵巣は「原因」ではなく、
乱れたホルモン環境に
反応している臓器
と理解されています。
❓ 新しい名前の意味は?
1語ずつ意味があります。
🔸 Polyendocrine(多内分泌):複数のホルモン系が関わる
🔸 Metabolic(代謝):代謝の異常が中心にある
🔸 Ovarian(卵巣):卵巣の所見は診断に重要
🔸 Syndrome(症候群):症状の幅が大きい
❓ どうやって決めたの?
医学の名称変更としては
異例の規模でした。
👥 22,000人以上
の患者さん・医療者が参加。
内分泌・生殖医療・婦人科・
小児科・皮膚科・精神科・
代謝内科・プライマリケア・看護など
幅広い分野が関わり、
患者さんも「対等なパートナー」として
参加しました。
最終会議では
📊 97%の支持
が得られています。
❓ 患者さんの反応は?
世界調査では
📊 81%が名前の変更を望んでいました。
7,500万件を超える
SNS投稿の分析では、
📊 約80%が事実的・説明的・肯定的
な反応でした。
論文では
「ようやく自分のことを
わかってもらえた、という
感覚だったのではないか」
と表現されています。
❓ これから何が変わるの?
3年計画で
さまざまな整備が進みます。
📋 WHOの疾病コード
📋 電子カルテの病名
📋 診療ガイドライン
📋 患者さん向け資料
そして重要なのが「分類」です。
現在「卵巣の病気」に
分類されているものを、
「内分泌・代謝の病気」の
グループに移すことが
目指されています。
🌈 まとめ
- PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)がPMOS(多内分泌代謝卵巣症候群)に改名された
- 世界の女性の8人に1人が関わる、とても身近な状態
- 卵巣そのものの病気ではなく、ホルモンと代謝が中心の全身の状態
- 22,000人以上の患者さん・医療者が参加し、最終会議で97%の支持
- SNSの反応の約80%が肯定的 ―「ようやく理解された」という声
- 今後3年かけて、病名コードやガイドラインの整備が進む
📋 院長からのコメント
名前が変わると聞くと戸惑われるかもしれませんが、これは単なる言い換えではありません。「卵巣の病気」から「ホルモンと代謝が中心の全身の状態」へと、理解の枠組み自体が変わる、意味のある変更です。
診療の現場でも、この状態は排卵だけの問題ではなく、インスリン抵抗性や将来の生活習慣病リスクと密接に関わります。新しい名前は、その実像をよく表しています。しばらくは両方の名前が併用されると思いますので、ご不安があれば遠慮なくお尋ねください。なお、これは名称変更を主導した専門家ご自身による論評であり、変更に慎重な意見も一部にあることは申し添えておきます。
📚 出典
Teede, Helena J., et al. "Reflections on the Journey to Renaming Polycystic Ovary Syndrome to Polyendocrine Metabolic Ovarian Syndrome." Fertility and Sterility, vol. 126, no. 4, 2026, pp. 612-14.
