【津高本院】不妊治療のページです
精子と受精の関係 〜「男性因子」がカギになるとき〜
体外受精や顕微授精(ICSI)は、不妊治療において大きな希望を与えてくれる方法です。しかし、「卵子を戻したのに、受精卵がほとんどできなかった…」というケースが存在します。
これまで、受精がうまくいかない原因は主に「卵子側」にあると考えられがちでした。ところが、最新の大規模研究で「男性因子」が関与する割合が予想以上に高いことが分かってきました。
📊 研究の結果:13,632周期を分析
- スペインと米国の研究チームが、卵子提供を用いた顕微授精(ICSI)13,632周期を解析。
- 全体の受精率は平均 72.7% と良好。
- しかし、受精率が30%以下の「低受精」ケースが3.7% に発生。
- そのうち 84%は男性因子が原因 と判明しました。つまり、全体の約3.1%は精子側に問題があったのです。
さらに、極めて低い受精率(10%以下)に至ったケースも0.4%ありました。
🧬 なぜ精子が原因になるの?
一般的な精液検査(精子数や運動率など)では「正常」と判定されても、
- 精子のDNA損傷
- 卵子を活性化させる力の不足
- 精子内の分子や遺伝子の異常
など、通常の検査では見えない問題が潜んでいる場合があります。
特に男性の年齢が高くなると、受精に影響する可能性があることも示されています。
👩❤️👨 カップルへのメッセージ
- 受精がうまくいかないとき、女性側だけに原因を求めないことが大切です。
- 精子の詳細な検査(DNA損傷検査など)や、専門的な追加治療(卵子活性化法など)で改善できる場合があります。
- 「男性も妊活の主役」――夫婦で一緒に検査・治療に臨むことが、次のステップにつながります。
まとめ
顕微授精は確立された方法ですが、それでも受精が思うようにいかないことがあります。今回の研究から、「男性因子」が見過ごされやすいが重要な要素であることが明らかになりました。
妊活は女性だけでなく、男性も含めた「二人のプロジェクト」。
受精がうまくいかないときには、ぜひ男性側の精子についても丁寧に調べてみましょう。
≪出典≫
- Torra-Massana M, Morse B, Miguel-Escalada I, et al. When does sperm impact fertilization success? The incidence of sperm-related poor fertilization after ICSI in 13,632 matched oocyte donation cycles. Human Reproduction. 2025;00(00):1–9. doi:10.1093/humrep/deaf152