【津高本院】不妊治療のページです
高品質で安心――“バイオシミラー”が支えるこれからの生殖医療
🌷はじめに
体外受精(IVF)の治療でよく使われるお薬に、**フォリトロピン・アルファ(follitropin alfa)**という卵巣刺激ホルモンがあります。これは卵を育てる「FSH(卵胞刺激ホルモン)」を人工的に再現した“バイオ医薬品”です。
そして今、同じ効果を持つ「バイオシミラー(biosimilar)」と呼ばれる薬が広く使われ始めています。バイオシミラーは「ジェネリック医薬品に似た存在」ですが、製造方法が少し違います。
大切なのは――「効果も安全性も、元の薬(オリジナル)と同じ」ということが厳しく確認されている、という点です。

🔬研究の概要
2025年に発表された論文(de Moraら, Human Reproduction)では、「バイオシミラーのフォリトロピン製剤(Ovaleap®, Bemfola®など)は、元の薬(Gonal-f®)と同じ妊娠率を示す」ことが改めて確認されました。
一方で、一部の研究では「バイオシミラーは効果が劣るのでは?」という誤解もありました。しかし今回の分析では、次の点が明確になりました:
- 欧州医薬品庁(EMA)が承認したバイオシミラーは、構造・機能がオリジナルと同等である。
- 妊娠率・出生率・安全性のすべてにおいて、臨床的な差は見られない。
- 欧州では、すでに不妊治療に使われるフォリトロピン製剤の約半分がバイオシミラーになっている。
つまり、「信頼できる規制機関が承認した製剤であれば、安心して使用できる」ということです。
💊“ジェネリック”とはちょっと違う?
ジェネリック医薬品は化学的に同じ分子を再現するのに対し、バイオシミラーは“生きた細胞”を使って作られるため、まったく同一のコピーは不可能です。
その代わり、以下などが厳密にオリジナルと比較・検証されて承認されます。
- 分子構造
- 生物学的な働き
- 臨床データ(卵子数や妊娠率)
ヨーロッパではこの仕組みが確立しており、110以上のバイオシミラーが安全に使用されています。
🩷患者さんにとってのメリット
- 💰 治療費が抑えられる
高価なホルモン製剤のコストが下がり、より多くの人が治療を受けやすくなる。 - 🩺 供給の安定
複数のメーカーが製造できることで、薬の安定供給が可能に。 - 🌍 国際的にも安心
欧州医薬品庁(EMA)やWHOが認める高基準の品質。
つまり、バイオシミラーは「質を保ちつつ、より手の届きやすい治療」を実現する手段です。
🌈まとめ
バイオシミラーは、「本当に同じなの?」と心配されることもありますが、科学的には「同じように効く、安全な薬」であることが確かめられています。
体外受精の世界では、“新しい薬”ではなく“信頼できる選択肢”として、これからますます一般的になっていくでしょう。安心して、医師と相談しながら最適な治療を選んでくださいね。
📚 出典
de Mora F, Howles CM, Trew G.
Follitropin alfa biosimilars: unfounded doubts on the road to reproductive care.
Hum Reprod. 2025;40(9):1789–1790.