【津高本院】不妊治療のページです
未来の家族を守る選択 ― 遺伝情報と生殖医療のいま
「ドナー選びの新しい基準:遺伝子キャリアスクリーニングとは?」
妊娠を望む方々の中には、卵子や精子の提供(ドナー)を利用して授かりたいと考える方も少なくありません。そんな中で、近年注目を集めているのが「リプロダクティブ・ジェネティック・キャリアスクリーニング(RGCS)」という遺伝学的検査です。
この検査は、ドナー(卵子・精子提供者)が**遺伝性疾患の“保因者”**かどうかを調べるものです。保因者とは、自分は発症していなくても、相手が同じ遺伝子を持つとお子さんに遺伝病が発症する可能性がある方を指します。
🧩 ドナーと受け手、それぞれの立場から見たRGCS
最新の国際レビュー研究では、卵子や精子のドナー、治療を受けるカップル、医療従事者、ドナーを管理する機関など、すべての関係者の声が分析されています。
💠 ドナーの立場
多くのドナーは、自分がどんな遺伝情報を持っているのかを知ることを前向きにとらえていますが、一方で「知らないほうがいいのでは」と感じる人もいます。
広範な検査を受けると、自分や家族の健康に関わる情報が分かることがあり、それが心理的な負担になるケースも報告されています。
💠 受け手(カップル)の立場
カップルにとってRGCSは、「安心してドナーを選ぶための情報源」です。
しかし、検査が増えると費用や時間がかかることもあり、検査結果の理解が難しいと感じる人も少なくありません。専門の遺伝カウンセラーや医師のサポートが、より良い選択を支えるカギになります。
💠 医療従事者の立場
医師や胚培養士の多くはRGCSの必要性を認めつつも、「遺伝の専門知識が足りない」と感じていることが分かっています。
今後は、患者さんに分かりやすく説明できるように、医療従事者の教育やチーム医療の充実が求められています。
🌱 RGCSがもたらすこれからの医療
RGCSの導入によって、より安全で透明性の高いドナー選択が可能になります。しかし同時に、「誰が結果を知る権利を持つのか」「どこまで検査すべきか」といった倫理的な課題も出てきています。今後は、患者さん・ドナー・医療者が協力しながら、“納得できる選択”を支える体制づくりが大切になるでしょう。
🔖 出典
Porwal D, Newton G, Mansour J, Dive L. Stakeholders’ experiences and perspectives of reproductive genetic carrier screening in gamete donation: a scoping review. Human Reproduction, 2025; 40(9):1689–1698.