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1つの受精卵が2人に!体外受精での一卵性双胎、そのリスクと対策
一つの胚から双子が生まれることがあるって本当?
体外受精(IVF)で「一つの胚だけを移植したのに双子になった」という話を聞いたことはありますか?これは「一卵性双胎(Monozygotic twins, MZT)」と呼ばれる現象で、一つの受精卵が途中で2つに分かれて発育することで起こります。
自然妊娠でも1,000件に4件ほどの割合で起こりますが、最近の研究で「体外受精ではその確率がやや高い」ことがわかってきました。

どのくらいの頻度で起こるの?
2025年にオーストラリアとニュージーランドで行われた大規模研究(15万件以上の出産データ)によると、
単一胚移植(SET)後の一卵性双胎率は約1.5% でした
つまり、100回に1〜2回の割合で、1つの胚から双子が生まれていることになります。
これは自然妊娠での0.4%と比べると、約4倍の確率です。
なぜ起こりやすくなるの?
研究では、次の2つの条件がリスクを高めると報告されています。
- 胚盤胞移植(blastocyst transfer)
→ 卵割期(3日目)よりも培養期間を延長して5〜6日目に移植する方法です。
この段階まで育てることで着床率が上がる反面、胚が分裂しやすくなる可能性があると考えられています。
実際、この研究では胚盤胞移植で一卵性双胎の確率が約2倍に増えていました。 - 新鮮胚移植(fresh transfer)
→ 採卵のすぐ後に移植する方法で、ホルモン環境が刺激を受けている状態です。
新鮮胚移植のほうが、凍結融解胚移植(vitrified-thaw transfer)よりも一卵性双胎が多いことが示されました(新鮮胚に比べて凍結胚では13%リスク減)。
一卵性双胎になるとどうなるの?
双胎妊娠(双子の妊娠)は、嬉しい反面、早産・胎盤合併症・貧血・妊娠高血圧などのリスクが高くなることが知られています。
特に一卵性の場合は、胎盤や羊膜を共有するため、双胎間輸血症候群などの合併症が起こることもあります。
どうすればよいの?
- 単一胚移植(SET)を基本にすることが、複数妊娠を減らす一番の方法です。
- 医師と相談しながら、胚盤胞移植と凍結胚移植のメリット・デメリットをバランスよく検討しましょう。
- 妊娠が成立した場合は、早期の超音波検査で胎児数と胎盤構造を確認し、必要に応じて母体・胎児のフォローアップを強化します。
まとめ
ポイント 内容
一卵性双胎率 約1.5%(自然妊娠の約4倍)
高リスク要因 胚盤胞移植・新鮮胚移植
リスクを減らす方法 凍結胚移植(特にガラス化法)
注意点 妊娠後の経過観察をしっかり行うこと
📚出典
Paul RC, Venetis CA, Fitzgerald O, Chambers GM. Incidence and risk factors of monozygotic twinning following ART: analysis of 154,671 live births resulting from single embryo transfer.
Human Reproduction. 2025; 40(9):1744–1752.