【津高本院】不妊治療のページです
精子の数・動き・年齢が未来の赤ちゃんに与える影響とは
「不妊治療は女性の年齢がすべて」…本当にそうでしょうか?
不妊治療の現場では、どうしても女性の年齢が注目されがちです。
もちろんそれは事実ですが、2025年に発表された大規模研究から、
男性側の年齢や精子の状態も、胚の質に確実に影響する
ことが、はっきり数字で示されました。
どんな研究だったの?
この研究では、
- 5,847治療周期
- 47,502個の成熟卵子
- 2017〜2023年のデータ
を解析し、男性年齢・精子の数・動き・採取方法が、
- 受精率
- 胚盤胞まで育つ率
- 染色体が正常な胚(正倍数体胚)の割合
にどう影響するかを詳しく調べました。女性年齢の影響は統計的に調整されており、
「男性因子だけ」の影響を見た点が大きな特徴です。
結果①:男性年齢が上がると「正常胚」は減る
特に女性が35歳未満の場合、男性年齢による影響がはっきり出ました。
正常胚(正倍数体胚)の割合
- 男性 ≤30歳:58.5%
- 31〜40歳:52.7%
- 41〜50歳:49.1%
- 51〜60歳:51.6%
👉 30歳以下と40代では約10%の差があります。つまり、「女性が若ければ安心」とは言い切れず、男性年齢も胚の染色体に影響することが分かります。
結果②:精子の「数」と「動き」はとても重要
精子濃度(数)の影響
- 16百万/mL以上:基準
- 1百万/mL未満:
- 受精率↓
- 胚盤胞率↓
- 正常胚率↓(約15%低下)
精子運動率(動き)
- 25%以下の群では
- 受精率が有意に低下
- 胚盤胞まで育つ率も低下
👉 精子の「量」だけでなく、
「元気さ」も将来の胚の質に直結します。
結果③:精巣内精子・凍結精子の場合は?
- 精巣内精子(TESE)
- 受精率・正常胚率ともに低下
- 正常胚率は約35%低下
- 凍結精子
- 受精率や胚盤胞率は大きな差なし
- ただし、正常胚率はやや低下
特に、女性年齢が高い場合と組み合わさると影響が出やすい
ことが示唆されています。
この結果が教えてくれること
- 妊娠・出産はカップルの共同作業
- 男性年齢・精子の質は「胚が育つ力」「染色体の安定性」に影響する
- 生活習慣の見直しや、早めの治療相談が意味を持つということです。
まとめ:男性側のケアも「妊娠への近道」
- 男性年齢30代後半から、正常胚率は徐々に低下
- 精子濃度1百万/mL未満は明らかなリスク
- 精子の質改善は、治療結果を左右する可能性あり
不妊治療は、どちらか一方が頑張るものではありません。夫婦で一緒に理解し、一緒に最適な選択をしていくことが、未来の赤ちゃんにつながります。
≪出典≫
Elkhatib, Ibrahim, et al.“The Influence of Male Age and Sperm Parameters on Blastulation and Euploidy Rates.”
Fertility and Sterility, vol. 124, no. 5, 2025, pp. 1006–1015.