【津高本院】不妊治療のページです
毎日の食事で変わるかもしれない?大豆摂取と子宮内膜症リスクの話
「大豆はホルモンに影響するから控えたほうがいい?」
妊娠を考え始めると、「大豆製品は女性ホルモンに似ている」から子宮内膜症や不妊に悪いのでは?」と心配される方が少なくありません。
しかし、2025年に発表された大規模研究は、
これまでのイメージと少し違う結果を示しました。
8万人以上を30年間追跡した大規模研究
この研究はアメリカのNurses’ Health Study II
という有名な前向き研究です。
- 対象:82,084人の閉経前女性
- 追跡期間:1991〜2021年(約30年)
- 確認された子宮内膜症:3,829例
- 診断は腹腔鏡で確認された症例のみ
という、非常に信頼性の高いデータです。
大豆を食べる人ほど、子宮内膜症が少なかった
研究の結果、次のことが分かりました。
- 大豆を週に1回多く食べるごとに
👉 子宮内膜症のリスクが8%低下- ハザード比:0.92
- 95%信頼区間:0.87〜0.98
これは「少しでも大豆を取り入れる人ほど、
発症リスクが低い」という意味です。
効果があったのは「少量〜適量」
興味深いのは、大豆の量です。
- 効果が確認されたのは
👉 大豆週1回程度 - イソフラボン量にすると
👉 1日約4 mgまで - それ以上増やしても、
効果は頭打ち(それ以上の上乗せ効果なし)
つまり、「たくさん食べる必要はない」
という点が重要です。

不妊の人では効果がはっきりしなかった理由
この研究では、
- 不妊の診断がない女性では
👉 リスク低下がはっきり確認 - 不妊の診断を伴う女性では
👉 明確な差は認められませんでした
専門家はその理由として、
- 不妊の検査目的で腹腔鏡が行われ、
症状の軽い内膜症も見つかりやすい - 痛みや炎症が主なタイプの内膜症と、
不妊となる内膜症では性質が異なる
可能性を指摘しています。
「大豆=エストロゲン」ではありません
大豆に含まれるイソフラボンは、
- 女性ホルモンと似た構造を持つ
- ただし体内では
👉 エストロゲンを弱める方向に働くこともある
さらに、
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
があり、痛みや炎症を抑える可能性が考えられています。
妊娠を考える人への現実的なメッセージ
- 大豆は「避ける食品」ではない
- むしろ
👉 週1〜数回の適量摂取は安全 - 豆腐、納豆、豆乳など
日本の普段の食事レベルで十分
「食事で完治する」わけではありませんが、
日常でできる小さなプラスとしては、
安心して取り入れてよい食品だと言えます。
まとめ
- 大豆摂取で子宮内膜症リスクが約8%低下
- 効果は少量で十分
- 不妊治療中でも、通常の和食レベルは問題なし
- 大豆は「敵」ではなく、上手につきあう存在
不安なときは、
「この食事、私の場合はどうですか?」
と主治医に相談してみてください。
≪出典≫
1)Mitsunami, Makiko, et al. “Soy Consumption and the Risk of Laparoscopically Confirmed Endometriosis in a Prospective Cohort Study.”Fertility and Sterility, vol. 124, no. 5P2, 2025, pp. 1061–1070.
2)Howard, Shelby, and Laurel Stadtmauer.“Soy, Estrogen, and Endometriosis: Bridging Nutritional Research with Clinical Practice.”Fertility and Sterility, vol. 124, no. 5P2, 2025, pp. 994–995.