【津高本院】不妊治療のページです
便利にしても妊娠率は変わらない?自然周期FETの新しい考え方
凍結胚移植、「自然周期」が一番いいと思っていませんか?
凍結胚移植(FET)では、
- 自然に排卵を待つ自然周期
- 排卵は自然だけど、
hCG注射や黄体ホルモンを少し足す周期 - 排卵を使わず、
ホルモン補充だけで行う周期
など、いくつかの方法があります。
「できるだけ自然な方が、体にも赤ちゃんにも良いのでは?」
そう感じる方も多いと思います。
そもそも注目されているのは「黄体(corpus luteum)」
自然周期が注目される理由の一つが、
排卵後にできる**黄体(corpus luteum)**です。
黄体は、
- プロゲステロン
- 血管作動性物質
などを分泌し、
妊娠初期の子宮環境を整える役割があります。
4,800回以上の移植を調べた研究
2025年に報告された研究では、
- 4,806回の単一胚移植FET
- 対象患者:3,517人
- 期間:2014〜2021年
を解析し、次の4つの方法を比較しました。
- 完全な自然周期
- 自然周期+腟坐薬プロゲステロン
- 排卵誘発剤+hCG+プロゲステロン
- hCG+プロゲステロン(最も多く使われた方法)
一番大事な結果:出生率に差はあった?
結論はとてもシンプルです。
👉 どの方法でも、生児獲得率(出産率)に差はありませんでした。
さらに、
- 平均妊娠週数:すべて39週以上
- 出生体重:平均3,354〜3,490g
と、
赤ちゃんの大きさや成熟度にも違いはありませんでした。
実は「数字の差」は少しありました
ただし、細かく見ると、
- 完全自然周期:41.4%
- hCG+プロゲステロン併用:53.4%
と、
約12%の差が見られました。
この差を統計的に確かめるには、
👉 約8,000周期が必要と推定され、
今回の研究規模では「有意差あり」とまでは言えませんでした。
なぜ「少し薬を足す」方法が選ばれるの?
理由はとても現実的です。
- 排卵日をコントロールしやすい
- 通院回数が減る
- 移植日を決めやすい
つまり、
👉 患者さんにとっても、医療側にとっても“便利”。
この研究は、
「便利にしても、妊娠のチャンスは下がらない」
ことを示してくれました。
「自然」にこだわりすぎなくていい理由
完全な自然周期は魅力的ですが、
- 排卵のズレ
- 通院の負担
- 仕事や生活との両立
が難しくなることもあります。
今回のデータから言えるのは、
👉 黄体があれば、
“少し調整した自然周期”でも結果は同じ
という点です。
まとめ:あなたに合った「続けやすさ」が大切
- 自然周期でも
- 少し薬を足しても
👉 出生率は同等 - 妊娠週数・赤ちゃんの体重も差なし
- 便利さを優先してOKなケースが多い
「自然かどうか」よりも、
無理なく続けられる方法が、
最終的に赤ちゃんへの近道になります。
出典
Poch, Alexandra M., and Kate Devine. “Same Corpus Luteum, Same Result: Modifying Natural Cycle Frozen Embryo Transfers for Convenience’s Sake.”
Fertility and Sterility, vol. 124, no. 5P2, 2025, pp. 990–991.