【津高本院】不妊治療のページです
「子宮内膜症、どこで診てもらうのが正解?」― 妊娠を目指す方に知ってほしい“専門的な診療体制”
「子宮内膜症と言われたけれど、このまま今の病院でいいのかな?」
「妊娠を考えるなら、専門施設に行った方がいい?」
こうした迷いは、とても自然なものです。最近、世界の先進国で子宮内膜症診療がどのように行われているかを比較した、大規模な研究が発表されました。今回はその内容を、妊娠を希望されるカップルの視点で、分かりやすくお伝えします。
子宮内膜症は「一人の医師だけ」で診る病気ではありません
子宮内膜症は、
- 強い月経痛や慢性的な骨盤痛
- 妊娠しにくさ
- 腸や膀胱など、婦人科以外の臓器への影響
など、症状が多彩で複雑な病気です。
このため世界的には、婦人科医だけでなく、痛みの専門家、外科医、不妊治療医、心理職などが連携する「チーム医療」が重要とされています。
世界では「段階的な専門医療体制」が進んでいます
この研究では、オーストラリア・デンマーク・ドイツ・オランダ・イギリスの5か国が比較されました。
共通していたのは、次の考え方です。
- 症状が軽い場合 → かかりつけ医や一般婦人科で対応
- 痛みが強い、妊娠希望がある、病変が複雑 → 専門施設へ紹介
特にドイツやオランダ、デンマークでは、「このレベルなら必ず専門施設へ」という仕組みが制度として整えられています。
妊娠を考える方にとって、専門施設が大切な理由
研究では、多くの国で子宮内膜症の専門施設は、不妊治療専門医と必ず連携していることが示されています。これはとても重要なポイントです。
- 痛みの治療だけでなく
- 妊娠を目指すタイミング
- 手術と不妊治療の順番
を同時に考えられるからです。妊娠を目標にする場合、「痛みだけ」「病変だけ」を診るのでは不十分なことも少なくありません。
まだ世界共通の課題もあります
一方で、この研究は現実的な課題も指摘しています。
- 専門施設以外でも高度な治療が行われている
- その治療の質が、必ずしも評価・見える化されていない
- 国によって専門施設の基準にばらつきがある
つまり、「専門的に診てもらえるかどうか」が分かりにくいという問題は、世界共通なのです。
だからこそ大切なのは「一緒に考えてくれる医療者」
この研究から伝わってくる、最も大切なメッセージは以下です。
子宮内膜症は、その人の症状・人生設計・妊娠希望に合わせて診療の場所や方法を選ぶべき病気です
「今の治療は、妊娠を目指す自分に合っているのか?」「専門的な意見も一度聞いてみたい」
そう感じた時点で、それは相談してよいサインです。
さいごに:遠慮せず、選択肢を持ってください
子宮内膜症の治療は、我慢比べではありません。
妊娠を希望する方にとっては、なおさらです。
- 今の治療を続ける
- 専門施設の意見を聞く
- 不妊治療と並行して考える
どれも「正解」になり得ます。大切なのは、その選択を、きちんと説明して一緒に考えてくれる医療者と出会うことです。
《出典》
- Leroy R, et al. Comparative analysis of the organization of endometriosis care in five high-income countries: implications for health systems and policy. Human Reproduction, 2025.