【津高本院】不妊治療のページです
妊活と甲状腺機能:妊娠に影響するTSHの最新知見とは?
妊活中の女性にとって、甲状腺の働きは見逃せないポイントです。
甲状腺ホルモンは卵巣機能や妊娠維持に関与し、バランスが崩れると妊娠しにくくなったり、流産のリスクが高まる可能性があります。今回は、最新の研究をもとに妊活と甲状腺機能の関係について解説します。
潜在性甲状腺機能低下症(SCH)とは?
SCHとは、甲状腺ホルモン(T4,T3)は正常範囲内なのに、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値を示す状態を指します。一般的にTSHが4.0 mIU/L以上でSCHと診断されますが、不妊治療中の女性では2.5 mIU/L以上を基準とすることが推奨されてきました。
SCHは妊娠に影響する?
以前は、SCHが妊娠しにくさや流産リスクと関連すると考えられていました。しかし、最新の研究では、不妊の直接的な原因ではなく、流産や周産期リスクとの明確な関連性もないことが示されています。このため、SCHに対するレボチロキシン(LT4)治療の有効性も再評価が進められています。
TSH値に応じた甲状腺管理
-
TSH 2.5–4.0 mIU/L の女性
→ 妊娠率や流産率の改善が明確でないため、LT4治療の必要性は慎重に判断。 - TSH >4.0 mIU/L の女性
→ 流産歴や甲状腺自己抗体(TPO抗体)の有無を考慮し、LT4投与を検討。
また、甲状腺機能が正常でもTPO抗体が陽性 の場合、LT4投与が考慮されることもありますが、妊娠率改善の明確な証拠はなく、副作用が少ないための対応とされています。
まとめ
- 甲状腺機能は妊娠に影響するが、SCHの影響は限定的。
- TSH 4.0 mIU/L以上 の場合、流産歴やTPO抗体の有無を考慮し、治療を検討。
- TPO抗体陽性の女性へのLT4治療は議論が続いているが、副作用が少ないため考慮されることも。
妊活中の方は、定期的に甲状腺検査を受け、専門医と相談することをおすすめします。
≪参考文献≫
- Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Fertil Steril. 2024;121:765-82.
- American Thyroid Association 2017 Guideline.