【津高本院】不妊治療のページです
帝王切開後の子宮、実は“厚さ”だけでは分からない?
帝王切開を経験した方へ
“子宮の傷あと”が妊娠に影響することがあります
帝王切開は、赤ちゃんを安全に迎えるための大切な手術です。
一方で近年、帝王切開後の“子宮の傷あと(瘢痕)” が、その後の妊娠や不妊に関係する可能性が注目されています。
今回の論文では、「傷の厚さだけでは、本当の子宮の状態は分からないかもしれない」という新しい視点が紹介されています。
「帝王切開瘢痕(はんこん)」って?
帝王切開では、赤ちゃんを取り出すために子宮を切開します。通常はきれいに治りますが、一部の方では
- 傷のへこみ(ニッチ)
- 筋肉が薄くなる
- 傷の治り方の異常
⚠️これらが起こることがあります。これを「帝王切開瘢痕欠損(Cesarean Scar Defect: CSD)」と呼びます。

どんな症状があるの?
帝王切開瘢痕では、
- 生理が長引く
- 骨盤痛
- 不妊
- 帝王切開瘢痕妊娠
- 前置胎盤・癒着胎盤
- 子宮破裂リスク
これらとの関連が報告されています。
これまでは「厚さ」で評価していた
これまで超音波検査では、「残った子宮筋層の厚さ(Residual Myometrial Thickness: RMT)」を測定して、傷の状態を評価していました。
⚠️一般的には、2〜3mm以下➡ “大きな瘢痕欠損” と考えられることがあります。
でも“厚さだけ”では分からない?
今回の研究では、超音波で見える厚さと実際の組織の状態を比較しました。
⚠️ 「超音波では“厚く見えても”実際には正常な筋肉が少ない」こういったケースがあることが分かったのです。
なぜそうなるの?
- 傷の中にのう胞(液体の袋)
- 子宮腺筋症のような変化
- 線維化(硬い組織)
が入り込んでいることがありました。
⚠️つまり、「厚さはあるでも“丈夫な筋肉”ではない可能性がある」ということです。
妊活にはどう関係するの?
子宮の傷あとが弱いと、
- 着床環境への影響
- 妊娠中の子宮トラブル
- 帝王切開瘢痕部妊娠
- 妊娠後期の子宮破裂リスク
⚠️これらが問題になることがあります。そのため「ただ厚いかどうか」だけでなく「どんな組織でできているか」が重要かもしれない、と考えられています。
手術方法も関係するかも?
論文では、帝王切開時の“縫い方”が、将来の傷の治り方に関係する可能性も述べられています。
⚠️とくに「子宮内膜を巻き込んで縫合すると➡ 傷の異常治癒や腺筋症につながる可能性」が指摘されています。最近では「子宮内膜を巻き込まない縫合法」「丁寧な多層縫合」などが注目されています。
どんな時に相談したらいい?
帝王切開歴があり、
- 生理が長引く
- 原因不明不妊
- 妊娠しにくい
- 帝王切開後から症状が変わった
⚠️こういった場合には、瘢痕評価が役立つことがあります。特に妊活中では、
- 経腟超音波
- MRI
- 子宮鏡
これらを組み合わせて評価することもあります。
まとめ
- “厚さ”だけでは子宮の傷の強さは分からない
- 傷の中の組織の質が重要
- 帝王切開瘢痕は妊娠や不妊に関係する可能性
今回の研究では、こういったことが示されました。帝王切開はとても大切な医療ですが、その後の妊娠を考えると、 “傷あと”を丁寧に評価することも、これからますます重要になるかもしれません。
📚出典
Nezhat C, Vintzileos AM.
Beyond thickness: rethinking cesarean scar integrity through structure, biology, and surgical insight.
Fertility and Sterility. 2026;125(4):628-629.