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良い胚を見つけるのはAI?それとも培養士?~最新研究で分かった「AI胚評価」の実力~

2026/07/09#研究論文ご紹介

体外受精を受けている方なら、「どの受精卵を移植するか」が妊娠への大切な一歩です。その受精卵選びに、今「AI(人工知能)」が活用され始めています。では実際にAIはどれくらい優秀なのでしょうか?

胚の評価は意外と難しい

受精卵の評価は胚培養士が行います。しかし、胚の見た目の評価にはどうしても主観が入ります。同じ胚を見ても、👨‍🔬「こちらが良い」👩‍🔬「こちらの方が良い」と意見が分かれることもあります。そこで期待されているのがAIです。

AIの評価はどれくらい安定している?

ある前向き二重盲検試験では、胚画像を評価した際の「判断の一致率」を比較しました。
👨‍🔬胚培養士の場合
🔹 生検対象胚の選択一致率:52.1%
🔹 凍結保存胚の選択一致率:57.7%

🤖AIの場合
🔹  一致率:83.9%

つまりAIは、人間よりも約1.5倍高い再現性で同じ判断を行ったのです。

AIは妊娠しやすい胚を見つけられる?

研究では、「胎児心拍が確認できる胚を予測できるか」も調べられています。

Day3胚移植

🤖 AI:AUC 0.63
👨‍🔬 従来評価:AUC 0.59

Day5胚移植

🤖 AI:AUC 0.59
👨‍🔬 従来評価:AUC 0.55

AIの方が有意に高い予測精度を示しました。つまりAIは、「妊娠につながる可能性が高い胚」を見つけるサポート役として期待されています。

約2万個の胚で行われた大規模研究

2026年に発表された研究では、 1施設で1,321治療周期19,962個の胚を解析しました。
AIには「iDAScore v2」というシステムが用いられ、 1.0~9.9点で各胚を評価しました。

ベテラン培養士ほどAIと意見が一致

研究では、
🔹 Junior(経験0~3年)
🔹 Senior(経験3~5年)
🔹 Senior+(経験5年以上)
の👨‍🔬 培養士を比較しました。

結果は、
🤖  AIとの全体一致率:58.6%
👨‍🔬 ベテラン培養士ほどAIとの一致率が高い

これは、🤖 AIが👨‍🔬熟練培養士の判断に近い可能性を示唆しています。

AIが特に役立つ患者さんとは?

正常胚(euploid embryo)が 4~8個ある患者さんでAIのメリットが大きい可能性を指摘しています。胚が少なすぎると選択肢が少なく、逆に多すぎるとどの胚を選んでも結果が良いことがあります。4~8個程度あると、「どれを選ぶべきか」が最も難しくなるためです。

AIにも課題はある

期待される🤖AIですが、まだブラックボックス問題もあります。🤖AIは結果を出せても、「なぜその胚を選んだのか」を説明できないことがあります。患者さんと医療者が一緒に治療方針を決める上で、これは重要な課題です。

出生率アップはまだ証明されていない

実は最も重要なのは、「 赤ちゃんを抱いて帰れるか」です。
250名を対象とした研究では、 「着床率は改善したが、 出生率の改善は確認できず」という結果でした。つまり、「AIで妊娠しやすくなる可能性はあるが、赤ちゃんが生まれる確率まで上がるかはまだ分からない」というのが現時点での結論です。

これからの不妊治療

現時点では、🤖 AIが培養士に代わるのではなく、👨‍🔬「経験豊富な培養士をサポートするツール」として活躍する未来が期待されています。🤖 AIによる客観性と、
👨‍🔬培養士の経験・知識・総合判断。その両方を活かすことで、より良い胚選択につながるかもしれません。

まとめ

📌 AIの評価一致率は 83.9%
📌 培養士の一致率は 52~58%
📌 AIは胎児心拍予測で従来評価を上回った
📌 約2万個の胚を解析した研究でも有望な結果
📌 ベテラン培養士ほどAIと判断が一致
📌 ただし出生率向上はまだ証明されていない

不妊治療におけるAIは、まだ発展途上の技術です。それでも「より客観的で公平な胚評価」を目指す新しい選択肢として、今後ますます注目されていくでしょう🌱

≪出典(MLA形式)≫

Martel, Rachel A., and Jason Franasiak. “Moving from Subjectivity to Standardization? The Emerging Role of Artificial Intelligence in the Embryology Laboratory.” F&S Reports, vol. 7, no. 3, 2026, pp. 180–181.

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