【津高本院】不妊治療のページです
凍結胚の「解凍方法」が変わると妊娠率は変わる?
体外受精で受精卵(胚)を凍結保存することが、今では当たり前になっています。でも実は、凍結した胚を子宮に戻す前には「融解(解凍)」という大切な作業があります。今回は、この融解方法に関する最新研究のご紹介です。
そもそも胚の融解って?
凍結保存された胚は、移植当日に培養士さんが丁寧に融解します。これまで一般的だった方法は、🧪 複数の液を順番に使う🧪 いくつもの工程を踏むという方法でした。
今回研究されたのは、「ワンステップ融解法」と呼ばれる新しい方法です。名前の通り、工程を大幅に減らしたシンプルな方法です。
どんな研究だったの?
オーストラリアの3施設で、 950人 1303個の胚を対象に調査が行われました。
✅ 従来の融解法
✅ ワンステップ融解法
この2つの方法を比較しました。
結果は?
胚の生存率はほぼ同じでした。
✅ 従来の融解法:98.6%
✅ ワンステップ融解法:98.4%
臨床的妊娠率は?
こちらもほぼ同じ結果でした。
✅ 従来の融解法:43.2%
✅ ワンステップ融解法:44.4%
継続妊娠率は?
こちらもほぼ同じ結果でした。
✅ 従来の融解法:34.3%
✅ ワンステップ融解法:37.9%
出産率
こちらもほぼ同じ結果でした。
✅ 従来の融解法:34.0%
✅ ワンステップ融解法:35.6%
つまり、「新しい方法でも妊娠率や出産率は変わらなかった」という結果でした。
なぜワンステップ法が注目されるの?
実は大きなメリットがあります。なんと、作業時間を90%以上短縮できるのです。
さらに下記の利点も期待されています。
✅ 胚が室温にさらされる時間が短い
✅ 作業工程が少ない
✅ ヒューマンエラーが減る可能性
✅ 培養室の効率向上
年齢が高い患者さんでも大丈夫?
研究では、高年齢、グレードがやや低い胚、Day6胚、男性不妊で顕微授精した胚
についても検討されました。その結果、どのグループでも ワンステップ法で成績が悪くなることはありませんでした。
赤ちゃんへの影響は?
出産後の結果も調べています。
🍼 出生体重
🍼 新生児合併症
🍼 妊娠中の合併症
いずれも差はなく、今回の研究では、安全性にも問題は認められませんでした。
患者さんに知ってほしいこと
今回の研究は、「胚をもっと安全に、もっと効率よく扱う方法」を検証した研究です。
患者さんから見ると、
🧡 妊娠率が下がらない
🧡 赤ちゃんへの影響もない
🧡 培養室の技術がさらに進歩している
という安心材料になります。
体外受精の成功は、医師だけでなく、培養士さんの技術進歩によっても支えられています。今回の研究は、その進歩を感じさせる興味深い報告といえるでしょう。
まとめ
🧪 凍結胚のワンステップ融解法を検証
🧪 胚生存率は従来法と同等
🧪 妊娠率・出産率も同等
🧪 高年齢やDay6胚でも問題なし
🧪 作業時間は90%以上短縮
🧪 新生児への悪影響も認められなかった
生殖医療は日々進歩しています。患者さんには見えない培養室の中でも、「より安全に、より確実に」という努力が続けられているのです✨
≪出典≫
Ebinger ER, Misurac H, Giovannini AM, et al.
Efficacy and safety of a one-step warming protocol of vitrified blastocyst stage embryos.Fertility and Sterility Reports. 2026;7(3):195-202.
