【津高本院】不妊治療のページです
期待が先行しすぎ?受精卵の“病気リスク予測検査”を考える
最近、「将来病気になりにくい赤ちゃんを選べる遺伝子検査」が話題になっています。
PGT-P(多因子疾患リスク検査)と呼ばれる技術で、受精卵の遺伝情報から将来の病気リスクを予測しようとするものです。
「病気になりにくい胚を選べるなら良いことでは?」と思うかもしれませんが、今回の論文では専門家が慎重な姿勢を示しています。現在広く行われている PGT-Mは、特定の遺伝病があるかどうかを調べる検査です。
一方、PGT-Pは「 糖尿病」「心疾患」「がん」など、さまざまな遺伝子の影響を統計的に計算して「リスクが低そうな胚」を順位付けする方法です。しかし、
⚠️ 「低リスク=病気にならない」
⚠️ 「高リスク=病気になる」
ではありません。あくまで確率の予測です。
さらに、「人種や集団による精度の違い」「治療費の増加」「患者さんへの心理的負担」「 倫理的な問題」も指摘されています。
そのため、2026年のASRM(米国生殖医学会)倫理委員会は、「現時点では臨床使用を推奨しない」としています。
妊活中の皆さんに大切なのは、「新しい技術=すぐに良い技術」とは限らないことです。医療では、「期待」だけでなく、「十分な科学的根拠」がとても重要です。受精卵の遺伝子検査については、主治医や遺伝カウンセラーと相談しながら、正しい情報をもとに判断することが大切です。
📚出典(MLA形式)
Dokras, Anuja, and Clarisa Gracia. “Don’t Let Hype Outrun Evidence: Why Preimplantation Genetic Testing for Polygenic Disease Risk Shouldn’t Be Rushed into Clinics.” Fertility and Sterility, vol. 125, no. 5, 2026, pp. 784–785.
