はじめに
子宮頚がんの原因になるヒトパピローマウイルスHPVは200種類以上の型が知られています。2価ワクチンはこのうち2種類(16/18型)、4価ワクチンはこのうちの4種類(6/11/16/18型)、9価ワクチンはこのうちの9種類(6/11/16/18型に加え31/33/45/52/58型)に対しのワクチン効果を期待するもので、子宮頚がん予防効果は4価で65.4%、9価で88.2%とされています。いずれも100%ではありませんが、子宮がん検診と組み合わせることで安心につながります。
HPVワクチンの副作用・合併症については、接種した直後に接種部位の痛み、腫れ、赤みなどが起こることがあります。まれに発熱や蕁麻疹(じんましん)などの症状が起こることもあります。またワクチン接種後に、広範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさなどの症状が起きたことが報告されていますが、これはHPVワクチン接種歴のない方においても同様の症状を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています。
当院では公費(定期接種・キャッチアップ)4価ワクチン(ガーダシル)または自費9価ワクチン(シルガード9)の接種が可能です。予約時に4価か9価かのご希望をお尋ねするようになりますので、下記をお読みのうえいずれか決定してお越しください。
HPV4価ワクチン接種
- 子宮頚がん予防HPVワクチンの公費接種(定期接種・キャッチアップ接種)があります。
- 定期接種の対象者は、小学6年生から高校1年相当の女子
- キャッチアップ接種(2025年3月までの特例措置)対象者は、:平成9年度から平成17年度生まれまでの女性で、かつ過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けておられない方。
- 上記の公費対象でなくとも希望がある女性は自費でのワクチン接種は可能です。
- 当院は男性のワクチン接種はお受けできません(そもそも男性は定期接種の対象ではありません)。
- 当院では4価ワクチンとしてMSD社のガーダシルを用います。
- 接種は初回、2か月後、6か月後と総計3回行います。
- 4価ワクチンであるガーダシルのMSD社の予診票です。接種条件や副作用/合併症などが記載されていますので、参考にお読みください。
▶︎予診票(ガーダシル)はこちら - 万が一健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく予防接種後健康被害救済制度の適用になります。
▶︎予防接種後健康被害救済制度について - 岡山市内在住の対象者で子宮頚がん予防HPV公費ワクチン接種を希望される方は、申込書をご持参ください(岡山市の申込書は当院にも準備があります)。未成年の方は保護者同伴を基本としてください。申込書には保護者署名も必要です。岡山市以外の岡山県在住者も当院で公費接種が可能な場合があります。お住いの自治体情報をご確認ください。
▶︎岡山市子宮頸がん予防(HPV)ワクチン接種申込書はこちら - 身分証明書(現住所と生年月日が分かるもの)および親子手帳(母子健康手帳)や予防接種記録をお持ちください。予防接種記録は保健所の窓口で申請すれば即時発行可能です。電話での申請の場合は本人確認のため郵送での発行になり届くまでに1週間程度掛かるそうです。
- HPVワクチン接種希望の方は電話で予約をおとりください(ネット予約不可)。
- 9価ワクチンは公費(定期接種やキャッチアップ接種)の適用になっていません。
- 当院では9価ワクチンとしてMSD社のシルガード9を用います。
- 接種は初回、2か月後、6か月後と総計3回行います。
- 全額自費で1回29700円(税込み)になります。
- 希望がある9歳以上の女性の接種は可能です。未成年では必ず保護者の同伴が必要です。
- 当院は男性のワクチン接種はお受けしておりません。
- 9価シルガード9のMSD社の医薬品リスク管理計画に基づいてMSD社の専用システムに登録していただく必要があります。スマホをご持参ください。
- シルガード9のワクチン接種の予診票です。接種条件や副作用/合併症などが記載されています。9価ワクチン接種希望の場合は記載していただくようになりますので、事前にご確認ください。
▶︎予診票(シルガード9)はこちら - 万が一健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度ではなく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となります。
▶︎医薬品副作用被害救済制度について
9価HPVワクチン接種
9価ワクチン接種についてのQ&A(厚生労働省のホームページから)
▶︎9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について
Q1:現在、定期接種の対象となっているサーバリックス(2価HPVワクチン)、ガーダシル(4価HPVワクチン)の接種を受けずに、シルガード9(9価HPVワクチン)が定期接種の対象になるのを待っていた方がよいでしょうか?
シルガード9は、現在定期接種の対象ワクチンではないため、公費では受けられません。
一方で、定期接種の対象であるサーバリックスやガーダシルでも、子宮頸がんに最も関与の強い型であるHPV16/18型の感染を予防できます。また、海外では、サーバリックスやガーダシルの接種が、子宮頸がんの予防に効果があったと報告されています。
HPVワクチンは、性的接触の経験前に接種することが望ましいとされており(HPVは一度でも性的接触の経験があればだれでも感染する可能性があります)、また、子宮頸がんは20代から年齢階級別罹患率が上昇するなど、若い方でも罹患し得るがんですので、シルガード9が定期接種の対象になるのを待っていただくよりも、定期接種の対象年齢(小学校6年~高校1年相当)にHPVワクチンを接種することをお勧めしています。
Q2:サーバリックス(2価HPVワクチン)またはガーダシル(4価HPVワクチン)を接種すると、シルガード9(9価HPVワクチン)の接種することはできませんか?
サーバリックスまたはガーダシルで規定の回数の接種が完了している場合、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、シルガード9の追加の接種を推奨していません。
これは、サーバリックスまたはガーダシルでも、子宮頸がんに最も関与の強い型であるHPV16/18型の感染予防に効果があることや、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性と安全性についてのデータが限られていることからです。
Q3:海外でのシルガード9(9価HPVワクチン)の使用状況を教えてください。
各国で使用されているHPVワクチンの種類はそれぞれ異なっていますが、9価HPVワクチンは、2014年12月に米国で最初に承認されて以降、2015年2月にカナダ、2015年6月に欧州連合(EU)やオーストラリアで承認されました。9価HPV ワクチンの販売名は国によって異なるものの、海外の複数の国で使用され始めています。
Q4:シルガード9(9価HPVワクチン)は現在、定期接種の対象ではないということですが、自費ならば受けられますか?
シルガード9(9価HPVワクチン)は、2021年2月から日本国内で販売が開始されているため、任意接種として接種することは可能です。お近くの医療機関などにご相談下さい。
ただし、予防接種法に基づく定期接種(公費での接種)の対象ではないため、接種費用は全額自己負担となります。
なお、万が一健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度ではなく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となります。
▶︎医薬品副作用被害救済制度について