【津高本院】不妊治療のページです
🌸 胚移植の成功率を左右する?
~実は大切な「膣内環境」と細菌のお話~
体外受精で良好な胚ができたのに、「なかなか妊娠につながらない…」 そんな経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。
実は最近、胚移植のときに使う細いカテーテルに付着する細菌が、妊娠率に影響する可能性が報告されました。

👶 胚移植ってどんなことをするの?
胚移植は、
🥚 受精卵(胚)を
➡️ 細いカテーテルで
🏠 子宮の中へ戻す治療です。
体外受精の最後の大切なステップですね。
🦠 カテーテルに細菌が付着しているとどうなる?
2026年に発表された研究では、210名の体外受精患者さんを対象に調査が行われました。その結果、🔍 胚移植カテーテルの約34%で細菌が検出されました。さらに驚いたのは、
カテーテルに細菌が検出された場合
🤰 妊娠率 8.5%
👶 出産率 4.2%
カテーテルに細菌が検出されなかった場合
🤰 妊娠率 39.6%
👶 出産率 24.4%
という大きな差がみられました。
研究では、「カテーテルの細菌汚染は妊娠・出産を妨げる独立した因子」と結論づけています。
❓なぜ細菌が影響するの?
まだ完全には解明されていませんが、考えられている理由は、
🔸 子宮内膜に炎症を起こす
🔸 着床しやすい環境を乱す
🔸 胚の発育を妨げる
🔸 子宮の免疫バランスを崩す
などです。
せっかく良好な胚を移植しても、子宮側の環境が整っていなければ着床しにくくなる可能性があります。
🌿 逆に「良い菌」は味方になる
反対に、カテーテルから🟢 ラクトバチルス(乳酸菌の仲間)が検出された患者さんでは、妊娠率・出産率が高くなっていました。
ラクトバチルスは
✅ 膣内を弱酸性に保つ
✅ 悪い菌の増殖を抑える
✅ 子宮内環境を守る
こういった働きがあり、いわば、🌸「妊娠を応援してくれる善玉菌」といえる存在です。
⚠️ 細菌性腟症(BV)にも注意
研究では、「細菌性腟症(BV)」のある方はカテーテル汚染のリスクが 約6倍高くなることも分かりました。
細菌性腟症は、悪い菌が増えて、善玉菌(ラクトバチルス)が減った状態です。しかも、半数近くは症状がありません。おりものや臭いがなくても起こるため、自覚しにくいのが特徴です。
💡患者さんが知っておきたいこと
今回の研究から見えてきたのは、「胚の質だけではなく、移植時の環境も大切」ということです。
体外受精では、🥚 卵子、🧬 精子、🌱 胚だけに注目しがちですが、
🌸 膣内環境
🌸 子宮内環境
も妊娠に関わる重要な要素です。
🌈 まとめ
- 胚移植カテーテルの細菌汚染は妊娠率・出産率低下と関連
- 特にラクトバチルス以外の細菌が問題になる可能性
- ラクトバチルスは妊娠をサポートする善玉菌
- 細菌性腟症(BV)は自覚症状がなくても存在することがある
- 妊娠率向上のためには胚だけでなく「膣内環境」も大切
体外受精は「良い胚をつくること」と同じくらい、🌸「迎え入れる環境を整えること」も重要です。今後は膣内・子宮内の細菌環境(マイクロバイオーム)が、さらに注目される時代になるかもしれません。
≪出典≫
Boughanmi A, Hamdoun M, Braham M, et al. Catheter contamination during embryo transfer: impact on outcomes of in vitro fertilization. Fertility and Sterility Reports. 2026;7(3):216-223.